「雇い止め無効」判決出ても…無期転換申込みは1割未満、大学・研究機関に広がる「10年ルール」の影

「雇い止め無効」判決出ても…無期転換申込みは1割未満、大学・研究機関に広がる「10年ルール」の影

●無期転換を申し込んだのは「1割未満」

文科省が2025年12月26日に公表した「研究者・教員等の雇用状況に関する調査」によると、大学や公的機関などの研究関係従事者は約50万人。そのうち「10年ルール」の特例対象者は2024年4月1日時点で9万5330人にのぼる。

このうち、2024年度中に通算10年を超えて、2025年5月1日までに有期労働契約を継続したのは5355人だった。ところが、無期転換申込権を実際に行使したのは472人だけで、1割にも満たなかった。

さらに、2025年4月1日までに契約更新をしていれば通算10年を超えるのに、2024年度中に労働契約を終了した人が950人いた。

内訳を見ると、契約更新をしない年齢に達したことを理由に契約を終了したのは240人で、710人はその他の理由となっている。この中には無期転換の直前に契約更新が打ち切られたケースもあるとみられる。

また、契約解除後に6カ月以上の空白期間を設けて再雇用することで通算期間をリセットする「クーリング」も問題視されている。厚生労働省は、無期転換を回避する目的でのクーリング設定は望ましくないと明言している。

●大学法人化と不安定雇用の拡大

そもそも国立大学で有期雇用が拡大した背景には、2004年の法人化以降、運営費交付金が削減され続けてきた事情がある。

プロジェクト型の競争的研究費への依存が高まる中、人件費の抑制が進み、研究者の雇用は不安定になった。こうした構造的問題が、日本の研究力低下の一因になっているとの指摘もある。

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