「雇い止め無効」判決出ても…無期転換申込みは1割未満、大学・研究機関に広がる「10年ルール」の影

「雇い止め無効」判決出ても…無期転換申込みは1割未満、大学・研究機関に広がる「10年ルール」の影

●「守るはずの制度」が機能しているか

東京海洋大の男性を支援してきた首都圏大学非常勤講師組合(横浜市)は、「5年ルール」の遵守を大学に求めてきた。一方で「10年ルール」による雇い止めが進行しているとして、その廃止を求める署名を2月3日、自民党総裁宛てに提出した。

呼びかけ人の一人である佐々木信吾・東海大学教職員組合執行委員長はこう訴える。

「10年ルールによって、5年で無期転換できる権利を剥奪された教育者や研究者はたくさんいて、10年目に雇い止めされる事例も全国で無数に出ています。

大学や研究所は10年ルールを正当化するために、研究現場の流動性といった理屈を立てていますが、幹部は流動せずに現場の人ばかりが不安定な状況に置かれているのは見ての通りです。

10年ルールを廃止して、大学の教員や研究者も他の職種と同様に、5年で無期転換できる立法措置を取っていただきたいです」

雇い止めに遭っても、裁判で争える人はごく一部にすぎない。多くの教員や研究者が、声を上げることなく職場を去っている。

「5年ルール」も「10年ルール」も、本来は不安定な有期雇用で働く人を守るための制度だったはずだ。文科省も厚労省もその趣旨を明言している。

制度は、守るべき人を守れているのか──。大学と研究機関の雇用のあり方が、いま改めて問われている。

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