とにかく早期発見が大事。先延ばしせずに検査を
編集部
受診から現在に至るまで、何か印象に残っていることなどあれば教えてください。
遠藤さん
まず、とにかく妻の支えがとても頼もしく思いました。手術室には歩いて入るのですが、そのときも直前まで手を握っていてくれました。もう一つ、自分ががんになったのをきっかけに調べてみたのですが、大腸がんは、男性では生涯におよそ10人に一人がかかると言われており、そのうち30~40%が直腸がんなのだそうです。ですから、人工肛門になってストマ装具を装着する人は世の中には決して少なくないのだと感じました。
編集部
病気の前後で変化したことを教えてください。
遠藤さん
一歩間違えれば死と直面することにもなっていたので、当時はまだ58歳、しっかり後悔のないように生きること、妻を幸せにすることを心に誓いました。妻とは私のがんが発覚してから入籍したんです。ただならぬ覚悟で私と結婚してくれたと思うので、人一倍幸せにしたいという思いが強くなりました。
編集部
今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか?
遠藤さん
自営業を20年近くやってきて一度も検診を受けていませんでした。「なるべくなら病院に行きたくない」といういわゆる病院嫌いな傾向と、「自分が病気になるわけがない」という根拠のない過剰な自信がありました。早くに検査を受けて早くに診断がついていればもっと軽くて済んだかなと思います。
編集部
現在の体調や生活はどうですか?
遠藤さん
手術からおよそ8カ月で人工肛門を閉鎖し、本来の肛門を使うことになりましたが、そこからも苦労の日が続きました。当初は特に排便コントロールができない(便を我慢できない)ので、1日に20回以上トイレに行くこともあり、外出することもままならず毎日自宅にこもっていました。夜中もトイレに行くので一睡もできない日もありました。パッドを常に装着していました。2カ月が経過した今は、少しずつではありますが状態は改善しつつあります。
編集部
医療機関や医療従事者に望むことはありますか?
遠藤さん
初めて体にメスを入れた私は、直腸を切除してつないで、人工肛門を作って、といった一連の流れを6時間かけておこなうことに医療のすごさを感じました。かつては大きくお腹を切り開いていたのでしょうが、私の体には小さな傷跡がいくつかあるだけ。この小さな傷でいったいどこから直腸を引っ張りだしたのか、医師に伺ったところ、おへそのところからだと教えてもらい、改めてすごさというかむしろ感動さえ覚えました。術後のケアについても病院を挙げて取り組んでくださり、感謝に尽きます。
編集部
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
遠藤さん
「直腸がんになる=人工肛門」という図式が頭に浮かぶ人も多いかと思います。私もそうでした。そして、そんな事実を知りたくないという思いから、大腸や肛門の検査を先延ばしにしている人も少なからずいるかと思います。しかし、年月が経つほど病気は進行します。念仏のようによく言われている「早期発見・早期治療が大事」という言葉はやはり正しいのだと思います。私のがんも早期発見できていれば、手術や人工肛門ではなく、大腸内視鏡で切除できたかもしれません。放っておいたからがんが進行してしまって、直腸を切除することになったのです。ぜひ、早期発見のための検査をおすすめします。
それと、世の中には、見た目にはわかりませんが人工肛門で生活している人が思ったよりたくさんいます。その人たちには、決して落ち込むことなく、むしろ素晴らしい医療によって命が助かったことに目を向けて、生きていきましょうと伝えたいです。
編集後記
直腸がんは誰にでも起こり得る病気です。自分の健康を守るためには、定期健診を受けることはもちろん、必要に応じて内視鏡検査などで早期に異常を確認することが重要です。日頃から体調の変化に意識を向け、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診することが、早期発見・早期治療につながります。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
記事監修医師:
寺川 洋子(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

