役のための試行錯誤は大変だけど楽しい
――視聴者が「これはフィクションだな」と離れてしまわない絶妙な演技が必要ですよね。大貫:その塩梅を監督とすり合わせながらやっていくのは、とても楽しかったです。『高嶺の花』では華道の家元、『グランメゾン東京』では料理人と、役柄によって思考を変えていく作業を大事にしています。役としての家での過ごし方や生活のリズムを考えることは、自分自身を助けてくれるんです。
『子宮恋愛』で言えば、松井愛莉さんの演じた苫田まきが、本当に好きになってくれるような存在にならなければいけなかった。その空気感をどれくらい出すかといった試行錯誤は、とても面白い作業でした。
映像にはない「生の舞台」だけの化学反応
――そうしたドラマへの出演をきっかけに、舞台を観に来る人もいるかと。大貫:そうした点で大きな反響を感じたのは、『ルパンの娘』でした。『子宮恋愛』では『ルパンの娘』とは違って、踊りはありませんでしたからね(笑)。だけどあそこまでガッツリの恋愛ものは『子宮恋愛』が初めてでした。
主役の相手役として抜擢してもらって嬉しかったですし、役者として勝負だと思って準備して挑んだものが、実際にたくさんの方に見ていただけた。純粋に嬉しかったです。
――大貫さんをきっかけに、ミュージカルに足を運ぶ人がまた新たにいるかもしれません。最後に改めて『メリー・ポピンズ』出演に際し、ひとことお願いします。
大貫:生の舞台は、その瞬間に終わってしまうもので、ミスも起こるし問題が起きることもあります。でもやっぱりその瞬間でしか観られない俳優同士の化学変化があって、そこが面白さだと感じます。
『メリー・ポピンズ』は日本でも再再演になりますが、続けていけるものには、やはりすごいパワーと理由があります。曲もどれも素晴らしいですし、普遍的なメッセージが詰まっている。最後、ハッピーな気持ちになって気づいたら涙が流れているような作品です。こうした心の浄化を感じられる作品は意外と少ないと思います。舞台を観たことのない人も、ぜひ感動しに、癒されに来てください。
<取材・文/望月ふみ ヘアメイク/松田蓉子 スタイリスト/立山功>
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

