妊娠が判明し喜びを感じていたのも束の間、すぐにやってくるのが辛いつわりです。
つわりの程度には個人差が大きく、症状も本当に人それぞれです。中には重症化してしまい入院治療が必要になってくるケースもあります。
つわりはどんな症状がいつから起こるのか、辛いつわりを乗り越える方法も気になりますよね。
今回は、つわりの症状やつわりが起こる期間・原因・対処法などを解説します。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
つわり(悪阻)の注意点

つわり(悪阻)の際に注意したいことを教えてください。
「つわりは病気じゃない」「これくらいみんな耐えてるからまだ大丈夫」などと考えて我慢しすぎないように注意してください。つわりは重症化してしまうと妊娠悪阻という診断が下り入院治療が必要になることもあります。たとえ妊娠悪阻には至らなくても、いつの間にか脱水症状や貧血を起こしていることもありえます。疲れや倦怠感・眠気などを感じることがあれば、できる限り横になって休むようにしてください。
また、食事や水分を一気にたくさん摂ってしまうと吐き気を感じやすくなります。食べられそうな体調の時に、少しずつ食事や水分を摂るようにしましょう。
つわり(悪阻)の重さは胎児の性別や早産などに関係しますか?
胎児の性別は受精の瞬間に決定しているので、つわりの重さは関係ありません。また、つわりが早産に繋がることもありません。
逆につわり症状があった人の方が、早産リスクが低下していたという研究結果があります。強いつわりを経験した人ほど、早産のリスクは低くなっています。
家族はどのようにサポートすれば良いですか?
つわりの症状には個人差が大きく、その辛さは本人にしか分かりません。つわりの症状は日によっても程度が異なりますし、一日の中でも波があります。症状が辛い時にはなるべく横になって休んでもらうようにして、決して無理をさせないようにしてください。「○○が食べたい」と言われて買ってきても、もうその頃には食べたい気持ちが無くなっているという事も往々にしてありえます。それくらいつわりの時期というのは体調の波が激しいものです。その時に食べたかった気持ちは本心なので、広い心で見守るようにしてください。
また、「ご飯の炊ける匂いで吐き気を催してしまう」「普段使っている柔軟剤の匂いがダメになってしまった」など、これまで普通に行ってきた家事をすることに大変な苦痛を伴うこともあります。そのような場合は家事分担を見直すなどして、吐き気の原因となるものとはなるべく関わらなくても済むように配慮をしましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
つわりが始まる妊娠初期はまだまだお腹の膨らみも分からず、ぱっと見て周囲からは妊婦だと気付かれにくい時期です。つわりが辛くても、まだ職場や周囲の人に妊娠を伝えていないタイミングかもしれません。しかしできれば早めに周囲に妊娠を伝えて、休みやすい環境を整えていくことをおすすめします。また、突然めまいや吐き気に襲われることもあります。外出の際はマタニティマークをカバンに付けておくと良いでしょう。
できるだけ無理はせず、「疲れたら休む」「食べられるときに少しずつ食べる」を心がけて実践するようにしてください。
編集部まとめ

「つわりの症状があるということは赤ちゃんが元気な証拠」ではありますが、とにかくつわりは辛いものです。
つわりに無理は禁物です。ひとりで我慢しすぎることのないよう、周囲の手も借りながら「辛い時は休む」ことを心がけてください。
あまりにも症状がひどく辛い時には妊娠悪阻に進行してしまっている場合も考えられますので、そんな時にはすぐに産婦人科医に相談するようにしましょう。
つわりは必ず終わる時がきます。つわりが終わったその先には赤ちゃんとの対面が待っています。その日を楽しみに、辛いつわりを乗り越えてくださいね。
参考文献
妊娠悪阻|Medical Note
Q:つわりがひどいです。対処法はありますか?|医療法人小塙医院

