親が不倫していることに気づき、悩んでいる──。そんな状況に置かれた子どもに、できることはあるのでしょうか。
弁護士ドットコムには、20代の相談者から次のような悩みが寄せられました。
「私の母は、私が中学生の頃からずっと同じ男性と不倫をしています」
「中学生の頃はとても動揺して、どうしたらいいかわからず、親同士が離婚してしまうんじゃないかと怖かった覚えがあります」
現在も不倫は続いており、相談者は母親の不倫相手に対して慰謝料を請求したいと考えているといいます。一方で、父親は不倫に気づいていない様子だそうです。
親の不倫に気づくだけでも胸が張り裂けそうなのに、それで家族がバラバラになるのではないかという不安を抱えるのは想像にかたくありません。親への信頼や尊敬が揺らぎ、人間不信に陥ることもあるでしょう。
すでに成人して冷静に受け止められている場合もあるかもしれません。しかし、いま親の不倫に悩んでいる未成年の子どもたちは、どうしたらよいのでしょうか。家族の問題にくわしい玉真聡志弁護士に聞きました。
●原則として、子どもから不倫相手に慰謝料請求はできない
──子どもが親の不倫相手に対し、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
未成年の子どもが親の不貞相手に慰謝料を請求しても、原則として認められることはありません。
ただし例外的に、不貞相手が「親に子どもを会わせないよう仕向ける」「子に対する監護を積極的に阻止しようとする」など、子どもに対する害意があるといった特段の事情がある場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります(最高裁昭和54年3月30日/判例タイムズ383号46頁)。
不貞した親は、未成年の子どもに対しても、自らの意思で愛情を注いで監護教育することができるので、未成年の子どもが不貞親からの監護教育を受けられないのは、その不貞親の意思によるものであって、未成年の子どもが不貞親の監護教育を受けられなかったことと不貞相手との不貞行為の間には、相当因果関係がないことがその理由とされています。
●親が離れていくのは「親自身の意思」と判断される
つまり、親が子どもに愛情を注がないとしても、それはあくまで「親自身の意思」によるものであり、不倫相手の責任とは直ちにはいえない、というわけです。
親の不倫に苦しむ子どもにとっては、家族に影響を受けた相手に対して、やり場のない思いを抱き、慰謝料を請求したいと考えるのは当然だと思います。
しかし、現状の法解釈では、子どものもとから離れるかどうかを最終的に決めているのは、不倫をした親自身であり、不貞相手は関係ないため、原則として慰謝料請求の対象にはならないとされているのです。

