百日咳の検査と治療法

病院で行われる百日咳の検査の内容を教えてください
百日咳が疑われる場合、症状の確認や経過の聞き取りに加え、いくつかの検査を組み合わせて診断を行います。
現在の診療現場で中心となっている検査は、鼻の奥や喉から採取した検体を用いて百日咳菌の遺伝子を調べる遺伝子検査です。発症初期から実施でき、短期間で結果が得られるため、百日咳の診断に広く用いられています。
発症から時間が経過している場合には、血液検査によって百日咳菌に対する抗体の量を調べる血清学的検査が行われることがあります。ただし、ワクチン接種歴の影響を受けることがあるため、結果は症状や経過とあわせて慎重に判断されます。
ほかにも、採取した検体から百日咳菌を培養して確認する培養検査が行われることがあります。培養検査は診断の確定に有用ですが、結果が出るまでに時間がかかり、専用の設備が必要なため実施できる施設が限られます。
参照:
『病原体検出マニュアル 百日咳 第4.0版』(国立感染症研究所)
『小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022 百日咳に関する追補版』(日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会)
百日咳はどのように治療しますか?
百日咳の治療の基本は、抗菌薬の服用です。
抗菌薬治療の主な目的は、体内の百日咳菌の増殖を抑えることと、周囲への感染拡大を防ぐことにあります。
百日咳は、発症初期のカタル期に有効な抗菌薬を投与することで、百日咳菌の増殖が抑えられるだけでなく、症状の改善も期待できます。
一方、咳が強く出る痙咳期に入ってから抗菌薬を投与しても、症状の明らかな改善は期待しにくいとされています。この時期の抗菌薬治療は、主に周囲への感染拡大を防ぐ目的で行われます。
抗菌薬の第一選択として、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が用いられます。なかでもアジスロマイシンは副作用が少なく、乳児にも使用しやすい薬剤です。薬剤は、患者さんの年齢やワクチン接種歴などに応じて処方されます。
服用期間は、薬剤によって異なりますが、アジスロマイシンは通常5日間、クラリスロマイシンやエリスロマイシンは7~14日間とされています。指示された服用期間を守り、最後まで飲み切りましょう。
参照:『小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022 百日咳に関する追補版』(日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会)
長引く咳を病院の治療で緩和させることはできますか?
現在、百日咳の激しい咳の症状をすぐに止める治療方法は確立されていません。これは、咳の原因となる気道の炎症が、抗菌薬による菌の抑制後もしばらく残るためです。
ただし、咳の症状を和らげるために鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張薬などが処方されることがあります。咳は活動後や就寝前、夜間に出やすいため、室内の加湿を行い、安静と休養を心がけましょう。
百日咳の予防と感染対策

百日咳を予防できるワクチンはありますか?
百日咳はワクチンで予防できます。5種混合ワクチンとして乳児期から公費で接種されます。このワクチンは赤ちゃんの健康を守るために重要な定期予防接種のひとつで、1本の接種で百日咳を含む5つの感染症を同時に予防できます。
ワクチンの効果はどの程度続きますか?
ワクチンの効果は時間とともに徐々に低下します。個人差はありますがおよそ4年〜12年で効果が弱まるといわれています。百日咳の患者さんに5歳から20歳までの年齢が多いのはそのためです。
百日咳のワクチンは、自費で追加接種を受けることも可能です。追加接種により免疫を維持し、感染や重症化のリスクを防ぐことができます。
参照:『病原体検出マニュアル 百日咳 第4.0版』(国立感染症研究所)
普段の生活のなかでできる感染対策を教えてください
百日咳は主に飛沫感染で広がるため、感染対策の基本は咳エチケットと手洗いです。
咳やくしゃみをするときは鼻とお口をマスクやハンカチ、服の袖などで覆い、飛沫の飛散を防ぎます。手洗いは石けんを使い、帰宅時や食事前だけでなく、こまめに行います。
また、自治体や保健所などが発信している感染症の流行状況を確認し、流行時期にはより一層の対策を心がけましょう。

