「彼女ならいいよ」と夫に伝えたら、とんでもない反応が
「それからずっとカナちゃんは、母ひとり子ひとりでがんばってきたらしい。そういう状態なら、彼女が夫と不倫をしてもいいんじゃないか、ふたりが結婚したいなら、それも考えてもいいと思うようになっていったんです」
夫にその話をすると、夫の顔色が変わった。「アオイは僕なんかもういらないのか」
いらないわけではない。彼女に惹かれたのはあなたでしょとアオイさんは言い返した。
「カナちゃんには悪いけど、一生一緒に暮らす相手ではないと夫が言ったんですよ。それならああいう女性に手を出すなと私は夫をグーで殴ってしまいました。今思えば、夫の優しさがカナちゃんに向いただけなんでしょうけど、責任をもてないなら最初から関係を持つなと言いたかった」
話し合いを重ねた結果
半年ほど夫と話し合った。カナさんと3人で会ったこともある。ただ、最後にはカナさんが言った。「私は母親を抱えて結婚はできない。もとはといえば悪いのは私」
それから1年、アオイさんとカナさんの友情は続いている。最初は逃げていた夫も、今では家にカナさんが来ることを歓迎するようになった。「夫とカナちゃんが男と女の関係だったんだなと思うと、たまに複雑な気分にはなります。でも、それ以上に私はカナちゃんとのつきあいを切りたくない。夫にはたまにチクチク言ってますけどね」
アオイさんは口角を上げてニコッと笑った。大人の女性らしい、何もかも呑み込んだような表情だった。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

