更年期障害、医療機関ではどんな治療をするの?
編集部
更年期障害と混同されやすい疾患として、どのようなものがありますか?
木崎先生
更年期障害の症状は多岐にわたるため、甲状腺の病気やうつ病、自律神経失調症、PMS(月経前症候群)などと区別がつきにくいことがあります。特に疲れやすさや動悸(どうき)、気分の落ち込みといった症状は、どの疾患にも共通して見られます。そのため、血液検査などでホルモン値を確認し、ほかの病気が隠れていないかを慎重に見極めることが重要です。
編集部
更年期障害かどうかは、ホルモン値でわかるのですか?
木崎先生
更年期障害かどうかは、ホルモン値だけで判断できるものではありません。年齢や症状の持続期間などで診断します。検査をおこなう目的は甲状腺の異常など、ほかの似た症状を示す病気が隠れていないかを確認するためです。
編集部
更年期症候群に対して、病院ではどのような治療をするのでしょうか?
木崎先生
代表的なのはホルモン補充療法(HRT)です。減少した女性ホルモンを補うことで、のぼせや不眠、イライラなどを改善します。内服薬・貼り薬・ジェルなど、さまざまな形があり、体質や症状、ニーズに合わせて使い分けることができます。効果が高く即効性もある治療ですが、副作用もあるため、医師から説明を受けた上で納得して始めることが必要です。
編集部
ほかにはどのような治療がありますか?
木崎先生
プラセンタ療法や漢方薬などがありますね。プラセンタ療法は、更年期の諸症状に効果があるといわれており、全般的な症状緩和が期待できますが、特に不眠や疲労などには効果が高く、即効性もあります。また、美容面での副効用も期待できます。大きな副作用は報告されていませんが、献血ができなくなるので注意が必要です。保険適用には年齢による制限があり、45~59歳で更年期の症状がある人は保険が適用されます(自費であれば年齢を問わず、投与可能です)。漢方薬は、更年期の諸症状全般に効くといわれている漢方が数種類あり、体質や症状に応じて選択します。基本的に、ゆっくりやわらかく症状を改善していくので、即効性はあまり期待できません。漢方薬の種類によっては、即効性のあるものも存在するため、効果が早めに出やすい漢方薬だけを選択することも方法の一つです。漢方薬も保険が適用されます。
編集部
いろいろあるのですね。
木崎先生
そうですね。抗うつ剤や抗不安薬などを処方するケースや、エクオールのサプリメントなどを使う場合もあります。また、乳がんの術後、脳梗塞や心筋梗塞の既往など、ホルモン補充療法にリスクがあるケースでは別の治療法を検討することもありますね。それぞれの背景に合わせて、無理のない形で症状を和らげる方法を一緒に探していきます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
木崎先生
更年期の症状は人それぞれで、ほかの人と比べる必要はありません。自分がつらいと感じたときが、治療を考えるタイミングです。日常生活に支障が出ている場合や、気持ちが落ち込む、眠れないなどの変化を感じたら、どうか一人で抱え込まずに医師を頼ってください。つらいときは我慢しなくていいのです。今はさまざまな治療法を選べるので、いつでも気軽に相談に来てください。
編集部まとめ
更年期は誰にでも訪れる自然な変化ですが、症状の強さや出方には個人差があります。生活習慣の見直しにより軽快することもありますが、つらい場合は医療機関での治療を検討しましょう。ホルモン補充療法などの選択肢も増えており、「我慢しないこと」が何より大切です。

