大腸カメラ検査では、腸内をきれいにするために下剤(洗腸剤)の服用が必要です。ポリエチレングリコール製剤とクエン酸マグネシウム製剤という2つの主要な下剤があり、それぞれに特徴や注意点があります。患者さんの身体状態や既往歴に応じて適切な下剤が選ばれるため、事前に違いを理解しておくことで安心して検査に臨めるでしょう。本セクションでは、各下剤の仕組みや服用方法、使用できない方の条件について詳しく解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
大腸カメラ検査で使用する下剤(洗腸剤)の種類
大腸カメラ検査を正確に行うには、腸内をきれいにしておく必要があります。そのために使用されるのが下剤(洗腸剤)であり、いくつかの種類から患者さんの身体状態に応じて選択されます。
ポリエチレングリコール製剤の特徴
ポリエチレングリコール製剤は、大腸カメラ検査で広く使用されている下剤です。この製剤の大きな特徴は、腸管から水分を吸収せず、体内の電解質バランスを崩しにくい点にあります。水分や電解質のバランスが保たれるため、脱水や電解質異常のリスクが低く、比較的安全に使用できる下剤といえるでしょう。
服用方法としては、一般的に約2リットルの液体を2〜3時間かけて飲む必要があります。以前は味が飲みにくいという声もありましたが、近年では味が工夫されている製品も増えており、レモン風味やスポーツドリンク風味など、飲みやすい製剤が開発されています。服用後は腸内容物が水様便として排出され、透明になるまで繰り返しトイレに通うことになります。
腎機能や心機能に問題がない方であれば、幅広い年齢層で使用可能です。ただし、腸閉塞や消化管穿孔の可能性がある方、重度の炎症性腸疾患がある方などでは使用できない場合があるため、事前の問診が重要となります。
クエン酸マグネシウム製剤との違い
クエン酸マグネシウム製剤は、ポリエチレングリコール製剤と並んで使用される下剤です。こちらは腸管内に水分を引き込むことで便を軟らかくし、排出を促進する仕組みとなっています。飲む量はポリエチレングリコール製剤よりも少なく、約1.8リットル程度で済むという利点があります。
しかし、クエン酸マグネシウム製剤には注意すべき点もあります。腎機能が低下している方やマグネシウムの排泄に問題がある方では、高マグネシウム血症のリスクがあるため使用できない場合があります。高マグネシウム血症は、重症化すると意識障害や不整脈などを引き起こす可能性がある状態です。また、高齢の方や脱水状態になりやすい方では、医師が慎重に適応を判断します。
どちらの下剤を使用するかは、患者さんの身体状態、既往歴、腎機能、心機能などを総合的に評価したうえで、医療機関が判断します。持病がある方や服薬中の薬がある方は、事前に必ず医師に申告してください。
まとめ
大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見や予防に極めて有効な検査です。下剤の服用や食事制限など事前準備には手間がかかりますが、医療機関の指示に従って適切に準備することで、精度の高い検査が可能になります。準備期間中は、体調管理に注意し、無理をせず過ごすことが大切です。
参考文献
国立がん研究センターがん情報サービス「大腸がん検診」
厚生労働省「がん検診」

