顎が痛い・顎から音がする・口が開けにくいという方は、もしかすると顎の疾患である顎関節症かもしれません。
しかし顎関節症は病気ということがあまり知られておらず、悩みを抱えたまま生活をしているという人も少なくないです。
今回は顎関節症はどんな病気なのかという疑問について、特徴や原因などを詳しくお答えしていきます。顎関節症かどうかの診断方法や治療法も一緒にみていきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「顎関節症」とは?治療法や何科を受診するべきか解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修歯科医師:
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。
顎関節症の特徴は?

顎関節症はどのような病気ですか?
顎関節症とは顎の筋肉・関節・骨に何らかの原因で炎症やズレなどが起こり、痛みや音が出る病気です。
病気というと大げさかもしれません。
なぜなら顎関節症は2人に1人が1度は経験する疾患であり、痛みがひどくないからと病院を受診せず治るケースも珍しくないからです。
顎関節症の主な原因は何でしょうか?
顎関節症にはさまざまな原因があります。
噛み合わせの悪さ
姿勢の悪さ
ストレス・疲労などによる筋緊張
顎関節・咬筋への過度な負担
先天性の関節構造
外傷性によるもの
などが挙げられ、どれか1つではなく複数の要因が重なり顎関節症の原因になっていることも稀ではありません。
姿勢の悪さは猫背・頬杖をつくなどだけでなく、下を向いてスマホを長時間見る姿勢もあてはまります。顎関節や咬筋への過度な負担は歯ぎしり・食いしばり・唇を噛む癖などが挙げられます。
先天性の顎関節症は避けられませんが、原因を知れば予防ができる後天的要因で顎関節症になる人は意外と多いです。
顎関節症が原因と考えられる症状はどのようなものがありますか?
顎関節症の主な症状は3つほどです。
顎に痛みがある
顎開閉時の音が気になる
口が開閉しづらい
などが挙げられます。音や痛みはないが口を大きく開くと顎がガクッとなる場合も軽度の顎関節症かもしれません。
また、顎関節症には顎の痛みなどが原因で併発する副症状が多くあります。
頭痛・腰痛・歯痛
噛み合わせの違和感
歯肉炎・歯周病
肩や首のこり
めまい・目の疲れ
耳鳴り・耳詰まり
鼻詰まり
喉の違和感・嚥下障害
顔面神経麻痺
顎に痛みを感じたうえで上記の症状が現れた場合は、顎関節症の副症状かもしれません。
副症状の有無や度合いは人によって異なるため、気になる症状がある方は専門医を受診しましょう。
顎関節症は女性に多くみられると聞きます。
女性・男性ともに顎関節症は多くみられる疾患で、女性特有の病気というわけではありません。
しかし女性は顎の付け根の関節あたりが男性よりも細長く尖っている場合が多く、付け根の顎骨の幅も細いため負担がかかりやすいです。そのため女性の方が顎に痛みを感じやすく病院を受診することが多いことから、顎関節症は女性に多くみられるといわれています。
また、世代を問わずみられる疾患で、若い人から年配の方までさまざまな人に発症する可能性があります。
編集部まとめ

今回は顎関節症について特徴や治療方法などを詳しくご紹介しました。多くの方が感じている顎関節症についての疑問にお答えしましたが、症状を感じられたら病院を受診し早めに治療を受けることが大切です。顎関節症かもしれないとお悩みの方はご紹介した診断方法を試し、項目に当てはまるようなら専門医へご相談ください。顎関節症の予防・治療を行い、痛みのない食事を楽しみましょう。
参考文献
顎関節症(がくかんせつしょう)とは|日本顎関節学会

