●現状の法律では死者の尊厳が十分に守られていない…法改正検討しても
──あくまで建造物に不正に侵入した罪にしか問えないようですね。死体の撮影自体は倫理的に大きな問題だと思われます。
巡査部長のしたことの何が悪いかと言えば、やはり死者の尊厳を害した点です。そのことについて罰せられないことについては、もどかしさがあります。
死者の尊厳を害したことを罰する法律として、刑法190条の死体損壊等罪があります。同罪は「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の拘禁刑に処する」としています。
逆に言えば、死体を損壊・遺棄・領得(※簡単にいうと自分の所有物にすることです)しない限り、死者に不敬な行為をしても処罰されないのです。
先ほど触れた葬儀場職員の事案でも、死体を物理的に「損壊」するまでには至っていないため、死体損壊等罪に問われませんでした。
このように、現状の法律の枠組みでは、死者の尊厳が十分に守られているとは言えません。死者に対する不敬な行為を処罰対象とする法改正について、検討されてもよいと思います。
【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:https://jiinhoumu.com/

