●無断パブリックビューイングが発覚した場合のリスク
──無断でパブリックビューイングしていたことが発覚した場合、飲食店側にはどのようなリスクがありますか。
まず、Netflixの規約違反として、アカウントが停止される可能性があります。これに加えて、損害賠償を請求される可能性も否定はできません。
具体的な金額は一概にはいえませんが、「著作権侵害により得た利益額」は損害額と推定されます(著作権法114条2項)。また、最低限「ライセンス相当額」の損害が生じたものと推定されます(同条3項)。
このライセンス相当額を算定する際は、DAZNなど類似サービスの事業者向けプランの使用料規定も参考にされます。
──WBCのパブリックビューイングがないのはちょっとさびしいですね。
これまで日本では地上波テレビが主流で、著作権法もテレビ放送の伝達についてはおおらかな規定になっているためか、「スポーツ中継は無料」という感覚が広くあったように思います。
ですが、時代は変わり、サブスク型配信が普及した現在は、コンテンツに対価を支払うことが当たり前という意識が利用者(視聴者)側に浸透しつつあります。
そうした流れを踏まえれば、Netflixのような事業者側が、コンテンツの利用主体や利用態様に応じた利用料規定を整備し、さまざまなニーズに対応することが両者にとって利益になるはずです。
特にスポーツバーのような飲食店でのパブリックビューイング需要は高く、今後、Netflixがスポーツ中継に本格参入するのであれば、これに対応したプランを用意することは必須のように思います。
●Netflix「PV実施を予定している事例も」
弁護士ドットコムニュース編集部が、Netflixにパブリックビューイングに対する見解を聞いたところ、次のように回答した。
「Netflixのサービスは、下記利用規約に基づき、原則としてご契約者ご本人による個人的かつ非商業的な用途でのご利用を前提としており、規約の範囲内で適切に運用しています。
パブリックビューイングにつきましては、お問い合わせフォームよりご連絡をいただき、所定の手続きを経て、実施を予定している事例もございます。個別のお問い合わせに関してはお答えを控えさせていただいておりますので、あらかじめご了承いただけますと幸いです」
【取材協力弁護士】
高木 啓成(たかき・ひろのり)弁護士
福岡県出身。2007年弁護士登録(第二東京弁護士会)。映像・音楽業界の企業やタレント事務所、ゲーム会社、広告代理店などをクライアントとするエンターテイメント法務を扱う。音楽事務所に所属して「週末作曲家」としても活動し、アイドルへ楽曲提供を行っている。HKT48の「Just a moment」で作曲家としてメジャーデビューした。Twitterアカウント @hirock_n
事務所名:渋谷カケル法律事務所
事務所URL:https://shibuyakakeru.com/

