頭痛などの症状を引き起こす病気に「慢性硬膜外血腫」というものがあります。
慢性硬膜外血腫は、頭の中の血管が損傷・出血することで起こる病気です。
発症原因のほとんどが外傷によるものですが、受傷して数日から数週間経って症状が現れるため発症原因に気づかないケースが少なくありません。
慢性硬膜外血腫は頭の中に血の塊(血腫)ができてしまうため、時には手術が必要になる病気です。
今回は慢性硬膜外血腫の再発やリスクについて説明します。
※この記事はメディカルドックにて『「慢性硬膜外血腫」の原因や症状などを解説!頭部を打撲してから数週間は要注意!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
慢性硬膜外血腫の再発やリスク

慢性硬膜外血腫は再発することはありますか?
硬膜外血腫を発症する原因の多くが外傷によるものです。そのため再度頭をぶつけるなどした場合には再発する恐れがあります。しかし、頭部に衝撃を受けなければ再発する可能性は低いため再発リスクを回避しやすい病気だともいえます。
リスクが高いのはどのような人ですか?
慢性硬膜外血腫を発症するリスクが高い人として以下が挙げられます。転びやすい人
血液をサラサラにする薬を飲んでいる人
高血圧の人
転んで頭をぶつけやすい人は注意が必要です。転ぶ以外にもラグビーや格闘技のような頭を激しくぶつける可能性のあるスポーツをしている人も、慢性硬膜外血腫を発症するリスクが高いです。
抗血栓薬などの血液をサラサラにする薬を飲んでいる人も慢性硬膜外血腫を発症するリスクが高いので注意しましょう。血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は出血した時に血が止まりにくいです。ちょっとした頭部打撲でも頭蓋内部の血管が損傷して血が止まらなくなり、慢性硬膜外血腫を発症する可能性があります。
高血圧の人は血管が柔軟性を失い硬くなっているため、打撲などの刺激により血管が損傷しやすい状態です。それほど強く頭をぶつけていなくても血管が傷つく恐れがあるため、慢性硬膜外血腫などの脳内出血を発症するリスクが高いです。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる人や高血圧の人は健常者よりも慢性硬膜外血腫を発症するリスクが高いので転倒などに十分注意しましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
慢性硬膜外血腫は主に外傷が原因で発症する病気です。そのため乳幼児から高齢者まで誰でも発症する可能性があります。慢性硬膜外血腫は頭部打撲などによる受傷後数日から数週間経ってから症状が現れます。頭をぶつけてから時間が経っているため発症原因に気づきにくく、ただの頭痛や吐き気と判断してしまうことも少なくありません。慢性硬膜外血種を発症しても無症状や軽度な症状の場合には経過観察で治るケースも確かにあります。
しかし血腫が大きかったり吸収されたりしない場合には、手術で血腫を取り除かなければ症状が改善しません。頭をぶつけて数日から数週間経った頃に頭痛・吐き気・嘔吐などの症状が現れたら、必ず医療機関を受診して検査を受けるようにしてください。
編集部まとめ

受傷後すぐに血腫が形成される急性硬膜外血腫は急激に症状が現れるため緊急性が高くすぐに手術が必要です。
一方の慢性硬膜外血腫では血腫の形成がゆっくりと進むため症状が現れにくく無症状であるケースも少なくありません。
自覚する症状も軽度なものが多く見過ごしてしまうケースがあります。
慢性硬膜外血腫は時間の経過とともに自然と吸収されて治癒することもありますが、血腫がある程度の大きさのまま吸収されない場合は手術が必要です。
頭をぶつけた後に頭痛などの違和感が続くという場合には、そのまま放置せずに一度CT検査を受けて調べるようにしましょう。
参考文献
慢性硬膜外血腫
外傷性頭蓋内血腫に対する減圧開頭手術中に形成された反対側急性硬膜外血腫の3症例
慢性硬膜下血腫穿孔洗潅術後に急性硬膜外血腫を合併した1例

