退職代行「モームリ」運営会社代表ら4名追送検 どんな行為が「組織犯罪処罰法」違反に問われたのか?

退職代行「モームリ」運営会社代表ら4名追送検 どんな行為が「組織犯罪処罰法」違反に問われたのか?

退職代行サービス「モームリ」の運営会社社長ら4人が弁護士違反の疑いで逮捕・起訴されていた事件で、警視庁が3月4日、4人を組織犯罪処罰法違反の容疑で追送検したと報じられました。

報道(共同通信、3月4日など)によると、追送検されたのは「モームリ」運営会社社長とその妻、提携していたとされる弁護士事務所の代表ら弁護士2人です。

退職希望者を弁護士へ紹介することの対価として受け取った違法な紹介料を「アフィリエイト広告」の業務委託費などの名目で偽装した疑いなどがもたれています。

この弁護士のうち1人は、事件についての疑惑を報じた週刊誌報道後に紹介料を返金させたうえで「コンサルティング料」として再度支払わせたとのことです。違法な紹介料を隠そうとした疑いがもたれています。

社長夫婦の認否は明らかにされていませんが、弁護士2人は容疑を認めているとのことです。4人はすでに弁護士法違反で起訴されていますが、組織犯罪処罰法違反とはどういうことなのでしょうか。解説します。

●紹介料の偽装が「犯罪収益等隠匿罪」にあたる

今回の追送検容疑は、組織犯罪処罰法10条の「犯罪収益等隠匿罪」です。

これは、犯罪によって得た利益などについて、事実を偽ったり、隠したりする行為を処罰するものです。いわゆるマネー・ロンダリング(資金洗浄)を取り締まる規定です。

同条で処罰される「犯罪」は決められているのですが、今回問題となった弁護士法違反は、組織犯罪処罰法の「別表」に掲げられています。

簡単に整理すると、以下のようになります。

1)紹介料を得て依頼者をあっせんすることが、弁護士法72条(社長側の違反)、弁護士法27条(弁護士側の違反)に違反する。処罰規定は弁護士法77条。
2)この「弁護士法違反」で得た紹介料は、組織犯罪処罰法の「犯罪収益」にあたる
3)したがって、この紹介料を別の名目で支払うと、組織犯罪処罰法の「犯罪収益など」を「隠匿」した罪に問われる

●弁護士法違反よりもはるかに重い

弁護士法違反(77条)の罰則は「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。

一方、犯罪収益等隠匿罪(組織犯罪処罰法10条)の罰則は「10年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科」です。

元の犯罪である弁護士法違反よりも、収益を隠す行為のほうがはるかに重く罰せられます。

●過去にも弁護士法違反で組織犯罪処罰法が適用された例がある

弁護士や弁護士法人が業者と提携したいわゆる非弁提携により、結果的に多くの依頼者に損害を与えるなど社会問題となった事例は過去に何度かあります。

弁護士法違反で有名なものとしては、弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所が、提携していた広告会社から実質的に支配される関係になってしまい、過払い金の事件処理による依頼者からの預り金が広告会社に流れたうえで、破産に至った事件があります。

また、弁護士法違反のほかに組織犯罪処罰法が適用された事例も、今回が初めてというわけではありません。

たとえば、弁護士が無資格者に自身の名義を貸し、交通事故被害者の代理人として示談交渉などの法律事務を行わせていた事件があります。報酬を事務所名義の口座に入金させ、正当な報酬に見せかけていました(大阪地判平成19年(2007年)2月7日、同平成19年9月13日)。

今後の裁判の行方が注目されます。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

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