「マンガワン」問題で小学館の第三者委員会が解明すべきこと、性犯罪で刑事処分の漫画家を別名義で再起用

「マンガワン」問題で小学館の第三者委員会が解明すべきこと、性犯罪で刑事処分の漫画家を別名義で再起用

●報道でまた被害者は苦痛を受けている

また、作画担当者に経緯が伝えられていなかったとされる点は、共に作品を作るパートナーに対する誠実義務という観点から、別途問われるべき問題です。

いずれにしても確かなのは、被害者が長年にわたり声を上げ続け、民事訴訟でその訴えが司法に認められたという事実です。

今回の報道によって、その被害者がさらなる苦痛を受けていることは避けがたく、その事実を深刻に受け止めることが、すべての出発点であるべきでしょう。

●調査結果の公表は出版・メディア全体の「これから」にも意味を持つ

小学館が第三者委員会を設置し、問題に正面から向き合う姿勢を示したこと自体は評価したいと思います。批判にさらされながらも外部の目を入れて検証する姿勢は、誠実さの表れでもあります。

小学館は上場企業ではありません。しかし、市場からの直接的な圧力がなくとも、会社の存在基盤を支えているのは、作品を愛する読者と、創作に向き合うマンガ家・クリエイターです。

今回、多くの作家が配信停止を決め、それを公表したという事実は、その信頼が深く傷ついていることを示しています。

第三者委員会の調査結果を公開し、真摯な姿勢を示すことが、企業として信頼を取り戻す道だと思います。小学館は日本の漫画文化を長年支えてきた存在であり、その対応は業界全体の未来にとっても重要な意味を持つと思います。

【取材協力弁護士】
蔵元 左近(くらもと・さこん)弁護士
日本国・米国NY州弁護士。M&Aやコンプライアンスを専門とし、近年は「ビジネスと人権」等のサステナビリティ分野にも注力。東京都「社会的責任調達指針」運用助言委員会委員、東京オリパラ委員会「持続可能性に配慮した調達コード」通報受付窓口助言委員長等を歴任。「ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」共同代表理事。2023年に蔵元国際法律事務所を設立。日経新聞「企業が選ぶ弁護士ランキング」受賞。
事務所名 :蔵元国際法律事務所
事務所URL:https://kuramoto-jurist.com/

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