冬~春に南下するイワシの大群に着いてやってくるヒラメは、デカくて肉厚。
外房沿岸ではそれをワタリ(渡りヒラメ)と呼び、ヒラメ釣りファンの魂を熱くさせてきた。
そして来たる3月はイワシの群れが押し寄せ、でっかいワタリとの遭遇率も急上昇する好期。
2月に入りここ大原港の初栄丸でも3~4kgクラスが上がり始めており、間もなく5kgを超える大型も出現しそうだ。
今のところ日々トップ4~5枚とまずまずの状況で推移しているが、もちろん谷間の日もあるだろう(今回の取材のように!?)。
しかし憧れの大型に出会うためには、メゲることなく通い続けるしかない。

▲太東崎~大原沖の水深7~11mを転々と探る
寒ブリ、寒サバ、寒ビラメ。
冬から早春の寒い時期にとびきりおいしくなる魚は「寒」の字があてられる。
今回狙うのは背中の肉が盛り上がって肉厚となった外房の寒ビラメ。
2日ほど寝かせた刺身がおいしく、とくに早春のころは甘みも増して絶品になる。
昆布じめ、煮付け、ムニエル、フライと料理方法も多彩だ。
2月11日、大原の勝見屋・初栄丸に出かけてきた。
ヒラメの近況はトップ4~5枚、3kgクラスもコンスタントに釣れている。
しかもイワシの群れも回り始めたとのことで、エサをたらふく食べて分厚くなった大判ヒラメとの対面も期待できそうだ。
懸念材料は全国的に記録的な大雪が降った直後であること。
関東の平野部は雪こそ降らなかったが季節風が数日吹き荒れ大シケで出船できない日が多かった。

▲朝方は潮動かずでアタリもサイズも今一
アピール戦術発動も…
当日も強めの北風予報だったせいか乗船者は私を含めて7名止まり。
大型船の初栄丸ゆえ、これなら席にタップリゆとりがあって釣りやすい。
5時25分に準備が整ったところで出船。
心配した波風は予想以下で、波をかぶることもなく30分ほどで太東沖の水深11mに到着。
6時の竿入れ時刻まで待ち、横流しでのスタートとなる。
「エサのイワシがちょっと大きめなので、じっくり食わせてから合わせて」とは船長のアドバイス。
海底は比較的フラットで、カジメや険しい根もないので根掛かりの心配は少ない。
開始早々、左舷ミヨシの小菅さんが1kg強のヒラメを釣り上げた。
幸先よいスタートに次つぎに竿が曲がるかと思いきや、後が続かない。
ここ数日続いたウネリで底荒れがひどく、その上まったく潮が流れないという悪条件が重なっているせいだ。
1時間半ほど付近をリサーチしたものの好転せず、あれほどいた僚船も移動して散りぢりになってしまった。
初栄丸も水深15m付近に移動。
同じくフラットな海底だ。
ここで私は濁り潮対策として発光アイテムを装着。
捨て糸も20cmと短くして、ヒラメの鼻先にイワシが届くよう工夫する。
潮は相変わらず動いていないし席も空いているので、海面に半円を描くイメージで竿先を動かしてイワシエサをアピールすると、ググッ。
しかし活性が低いのか、すぐにイワシを放してしまった。
しばらく再アタックを待ったもののすっかり反応は消え、回収すると傷跡が付いたイワシが戻ってきた。
「う~ん、この噛み跡だったら2kgはあったはず……」隣席にいる釣友の塙君に泣き言をこぼす。
8時30分、灘の水深7~8mラインに移動。
ここは過去6.5kgのマイレコードを手にした、私にとって縁起のよいポイントだ。
若干起伏があるので捨て糸の長さを60cmと長めに調整。
しばらくすると、「あっ!スッポ抜けた」塙君が悲鳴を上げながらリールを巻き始めた。
「ダメだよぉすぐ落とし直して!食い直すかもしれないから派手に誘いを入れて」
檄を送ると慌てて仕掛けを落とし直し、トントンとオモリで海底をたたくように誘うとググッと明確なアタリ!
「まだよ、まだまだ。ギュンと絞り込まれたら竿に魚を乗せるイメージで合わせて」
ジリジリと耐え、グンと竿が入った直後に合わせが決まると思わず、やったぜ! となる。
この高揚感がヒラメ釣りのだいご味だ。
「よっしゃっ」見事にフッキングに成功した塙君がリーリング開始。
ところが派手な魚信とは裏腹に姿を現したのは600gほどのソゲ級だった。

▲大判と遭遇するにはとにかく通うこと。イワシ大群の動向にも要注目だ
知っ得!バラシを減らす三カ条
その1:海面に入る道糸と竿の角度はできるだけ直角をキープ。
竿の柔軟性と弾性が最大限に生かせるので、食い込みもよくバラシが減る。
その2:ヒラメ釣りに早合わせは禁物。
最初のアタリはイワシに食い付いただけでハリまで飲み込んでいないことが多く、ここで合わせるとスッポ抜けに泣く。
エサを飲み込んで反転した瞬間に出る強い引き込みで合わせよう。
その3:巻き上げの際にポンピングすると、道糸のテンションが緩んだ瞬間に突っ込まれ、ハリスを切られることがある。
竿を軽く立てたまま一定速度で巻き上げること。

