GISTのステージ分類とリスク分類の違いとは

ステージ分類は上述のとおり、腫瘍の進行度合いそのものを示す指標で、治療の方針決定や予後の見通しに用いられます。一方で、GISTにはこれと別にリスク分類と呼ばれる指標があります。リスク分類とは、手術で腫瘍を完全に切除した後に再発がどれくらい起こりやすいかを評価するための分類で、追加の薬物療法(補助療法)を行うべきか判断する材料になります。ステージ分類と似ていますが、扱う目的が異なる点に注意が必要です。
リスク分類は次の3つの要素の組み合わせで決まります。
腫瘍の大きさ
有糸分裂率(核分裂指数)
原発部位
これらの要素をもとに、リスク分類が行われます。リスク分類の結果、再発高リスクと判定された場合には、術後に再発予防目的でイマチニブ(グリべック)などの分子標的薬による補助療法を追加で行うことが推奨されています。逆に、リスクが低ければ手術後は経過観察のみで追加治療の必要はない場合もあります。
このようにステージ分類は「今どれだけ病気が進んでいるか」の評価、リスク分類は「将来再発しそうか」の評価と考えるとわかりやすいでしょう。
GISTについてよくある質問
ここまでGISTを紹介しました。ここでは「GIST」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
GISTはステージによって治療法が変わりますか?
はい、ステージによって治療法は大きく異なります。基本的にステージI~IIIでは外科手術による腫瘍の完全切除が第一選択です。GISTと診断されたら腫瘍の大きさに関わらず手術での切除がすすめられており、胃や小腸の一部を切除しても生活に支障が少ない範囲で摘出する方針となります。一方、ステージIVでは、手術では病気を治しきれないため原則として薬物療法が主体となります。
GISTのステージ別生存率を教えてください。
米国のデータによると、GISTが一部に留まっている場合の5年生存率は96%、GISTと診断されたときにほかの臓器に転移があった場合の5年生存率は57%とされています。もちろん、個人の予後は年齢や健康状態、腫瘍の遺伝子変異の型などさまざまな要因で左右されるため、ステージ=何%の生存率ととらえるのは避けましょう。
GISTを早く発見できれば完治しますか?
早期に見つかったGISTは、多くの場合手術で完全に摘出することで完治が望めます。ただし、GISTは症状が乏しく早期発見が難しい腫瘍でもあります。健康診断の内視鏡検査などで偶然小さな粘膜下腫瘍として発見されることがありますが、自覚症状が出る頃にはある程度の大きさになっていることが少なくありません。早い段階で見つけて適切な治療を受ければGISTは完治も十分可能な病気ですので、不調を感じたら我慢せず検査を受けるようにしましょう。

