男性ホルモンの分泌を増やす食べ物

食べ物でテストステロンを「劇的に増やす」ことは一般に難しいですが、欠乏がある栄養素を是正し、体重管理や代謝改善につながる食事を続けることは、ホルモン環境の維持に役立ちます。ここでは、土台として意識したい栄養素と食材を紹介します。
亜鉛を豊富に含む食品
亜鉛(Zn)は体内の多くの酵素反応に関わる重要なミネラルで、欠乏がある場合には性腺機能やテストステロンに影響する可能性があります。実際、亜鉛を極端に制限した状況でテストステロンが低下した報告や、亜鉛欠乏傾向の方で補充によりテストステロンが改善した報告があります。
ただし、亜鉛が十分な人が多く摂ればさらに増えるという意味ではありません。まずは食事で不足が起きにくい形を目指しましょう。亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、赤身肉、レバー、魚介類、豆類、ナッツ類などです。 なお、亜鉛の過剰摂取は健康被害につながる可能性があるため、サプリを使う場合も含めて摂りすぎには注意してください。
ビタミンDやカルシウムを含む食品
ビタミンDは骨の健康だけでなく、体のさまざまな働きと関連する栄養素です。ビタミンD不足の方では、ビタミンD補充によりテストステロンが改善した研究もあります。ただし、研究結果は一貫しない部分もあり、効果は「不足がある場合に期待されやすい」と考えるのが現実的です。
ビタミンDは日光を浴びることで体内合成され、食品では魚(サケ、サバ、イワシなど)、卵黄、きのこ類などに含まれます。カルシウムは骨の健康に重要で、乳製品や小魚、大豆製品などから摂取できます。
一部で乳製品とホルモンの話題が取り上げられることがありますが、一般的には「適量の範囲」で極端に心配し過ぎる必要はありません。偏りなく、適量を続けることが大切です。
良質な脂肪を含む食品
脂質はホルモン合成の材料の一部であり、極端な脂質制限は体調に影響する場合があります。一方で、脂質を摂ればテストステロンが上がる、という単純な話でもありません。 ポイントは「脂の質」と「食事全体のバランス」です。オリーブオイル、魚の脂(EPA/DHA)、ナッツ、アボカドなどに含まれる不飽和脂肪酸は、食事の質を整える上で選びやすい脂質です。反対に、揚げ物中心・超加工食品が多い食生活は体重増加につながり、結果的にテストステロン低下の要因になり得ます。 また、タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品など)と野菜・海藻・きのこ類などを組み合わせ、体重管理につながる食事パターンを作ることが、ホルモン環境の土台になります。
男性ホルモンの分泌を増やす飲み物

特定の飲み物でテストステロンが「確実に増える」と言えるものは限られます。飲み物は、睡眠や体重管理、ストレスのコントロールを助ける生活の補助として位置づけるのが現実的です。糖分の多い飲料は体重増加につながりやすいため注意しましょう。
緑茶(特に抹茶)
緑茶(抹茶を含む)は、日常に取り入れやすい飲み物です。抹茶に含まれるテアニンなどがリラックスに役立つ可能性はありますが、抹茶がテストステロンを直接増やすことを示す強い臨床根拠は十分ではありません。 そのため、「ストレスを減らす」「間食を減らす」「甘い飲料の置き換え」といった目的で取り入れるのがおすすめです。カフェインを含むため、夕方以降に飲むと睡眠の質を下げることがある点には注意しましょう。また、緑茶を大量に飲むと鉄の吸収に影響する可能性があるため、貧血傾向の方は適量を心がけてください。
ザクロジュース
ザクロジュースは抗酸化成分を含み、健康飲料として人気があります。一方で、テストステロン増加については小規模・短期の報告(唾液テストステロンなど)で示唆がある程度で、確立した方法とは言えません。取り入れる場合は、加糖飲料ではなく100%に近いものを選び、量は控えめにしましょう。ジュースは糖分摂取が増えやすく、体重管理の観点では飲み過ぎに注意が必要です。
ショウガ湯
ショウガ(生姜)は体を温める食材として親しまれています。動物研究ではショウガ成分とテストステロンの関連が示唆されていますが、ヒトでテストステロンを確実に増やす効果がはっきり示されたとは言いにくいのが現状です。 そのため、「体を温めてリラックスする」「寝る前に甘い飲料を避ける」など、生活習慣を整える補助として活用するとよいでしょう。はちみつを加える場合は糖分量に注意してください。 また、十分な水分補給は体調管理の基本です。脱水は疲労感やパフォーマンス低下につながるため、こまめに水分をとりましょう。
男性ホルモンの分泌を増やすサプリメント

サプリメントは、食事で不足しがちな栄養素を補う手段になり得ます。ただし、正常な人が多く摂ればテストステロンが大きく上がるといったブースター的な期待はし過ぎないことが大切です。基本は食事・睡眠・運動・体重管理で、サプリは不足が疑われる場合の補助として考えましょう。持病や服薬がある方は、開始前に医師・薬剤師へ相談してください。
亜鉛サプリ
亜鉛は欠乏がある場合に性腺機能へ影響し得るため、食事内容から不足が疑われる方では補助として検討されます。市販サプリは1日15~30mg程度の製品が多く、食事で不足しやすい方には使いやすいことがあります。
ただし、亜鉛は過剰摂取で健康被害(銅欠乏など)につながる可能性があるため、推奨量を超えないようにし、長期に続ける場合は医療者に相談すると安心です。「亜鉛を飲めば誰でもテストステロンが増える」と考えるのではなく、あくまで欠乏是正の位置づけで利用しましょう。
ビタミンDサプリ
ビタミンDは不足が多い栄養素として知られ、欠乏がある場合に補充する意義があります。ビタミンD不足の方で、補充によりテストステロンが改善した研究もありますが、すべての研究で一貫して増えるわけではなく、効果には個人差があります。摂取量は製品の表示に従い、過剰摂取にならないよう注意してください。脂溶性ビタミンのため、食後の摂取が一般に行われます。腎機能障害がある方や高カルシウム血症の既往がある方は、医師に相談してからにしましょう。
ハーブ・漢方系サプリ
マカ、高麗人参、アシュワガンダ、フェヌグリークなど、活力や性機能に関するサプリは多く存在します。これらは「気分」「疲労感」「睡眠」「ストレス」などを介して生活の質に影響する可能性が示唆されるものもありますが、テストステロンを確実に上げると断定できるものは限られます。 また、ハーブは薬剤との相互作用や副作用(肝機能への影響など)が問題になることがあります。持病がある方、服薬中の方、手術予定がある方は、自己判断で複数のサプリを併用せず、医師・薬剤師に相談してください。
「男性ホルモンを増やす方法」についてよくある質問

ここまで男性ホルモンを増やす方法について紹介しました。ここでは「男性ホルモンを増やす方法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
男性ホルモンは性行為後に分泌されるのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
性行為(射精)をした直後に、テストステロンが「劇的に」増えると断定できるわけではありません。研究では、性行為やオーガズム前後のホルモン変化は一定ではなく、日内変動や測定条件の影響も受けます。
一方で、「禁欲7日目に一時的な上昇が見られた」とする報告もありますが、これは短期の観察で、臨床的にテストステロンを恒常的に高める方法として確立しているわけではありません。
まとめると、性行為そのものをテストステロンを上げる手段として考える必要はあまりありません。重要なのは、睡眠・運動・体重管理など、基礎的な生活習慣を整えてホルモンが低下しにくい環境を作ることです。
男性ホルモンが少ない人の特徴を教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
テストステロンが低い方では、筋肉量の低下や内臓脂肪の増加、疲れやすさ、性欲低下、朝の勃起の減少、気分の落ち込み、集中力低下などを自覚することがあります。
ただし、同様の症状は睡眠障害、ストレス、うつ病、甲状腺疾患、貧血、糖尿病などでも起こるため、症状だけで判断はできません。気になる症状が続く場合は、医療機関で生活背景も含めて相談し、必要に応じて血液検査で評価するとよいでしょう。
まとめ
男性ホルモン(テストステロン)は、筋肉や骨、性機能、気分や代謝などに関わる重要なホルモンです。加齢とともに低下しやすい傾向がありますが、低下の程度には個人差があり、肥満、睡眠不足、ストレス、基礎疾患、薬剤など複数の要因が影響します。
男性ホルモンを「増やす」ために最も現実的で安全なのは、まず生活習慣を整えることです。適度な運動、十分な睡眠、体重管理、バランスの良い食事は、テストステロンが低下しにくい体の土台になります。 食べ物・飲み物・サプリメントは、あくまで補助として考えましょう。
症状が強い場合や血液検査で明らかな低テストステロンが確認される場合には、医師の評価のもとでテストステロン補充療法(TRT)が検討されることがあります。TRTは適応を見極めて行う治療であり、赤血球が増えすぎる(多血)などの副作用が起こり得るため、定期的な採血を含む安全管理が必須です。自己判断でのホルモン使用は避け、泌尿器科・内分泌科などの医療機関で相談しましょう。
「男性ホルモン」と関連する病気
「男性ホルモン」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
精神科の病気
うつ病不安障害
睡眠障害内科の病気
甲状腺疾患貧血泌尿器科の病気
LOH症候群勃起不全
男性ホルモンが低下した際の症状は精神疾患や内科疾患などでも現れることがあります。なかなか改善しない場合には、男性ホルモンのせいだと決めつけずに検査を受けることをお勧めします。
「男性ホルモン」と関連する症状
「男性ホルモン」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
勃起不全
性欲低下
疲労感
倦怠感筋力低下
体脂肪の増加
気分の落ち込み
うつ傾向
男性ホルモンが低下するとこれらの症状が出現することがあります。セルフケアを行っても改善しない場合には、一度医療機関で相談することも考慮しましょう。
参考文献
日本泌尿器科学会ほか. LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き 2022年版.
Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018
Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men. JAMA. 2011
Vigorous Physical Activity is Associated with Regular Aerobic Exercise-Induced Increased Serum Testosterone Levels in Overweight/Obese Men. Horm Metab Res. 2018
Zinc deficiency in elderly men and its effect on serum testosterone. Nutrition. 1996
Effect of vitamin D supplementation on testosterone levels in men. Horm Metab Res. 2011
A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men. J Zhejiang Univ Sci. 2003
Hypogonadism and male obesity: Focus on unresolved questions. Clin Endocrinol. 2018
Testosterone and metabolic syndrome: a meta-analysis study. J Sex Med. 2011
Vitamin D and testosterone in healthy men. J Clin Endocrinol Metab. 2017
Ginger and testosterone. Biomolecules. 2018
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