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高潮情報が大きく変わる!防災につなげるポイントを解説

高潮情報が大きく変わる!防災につなげるポイントを解説

写真提供:PIXTA

台風や発達した低気圧が近づく際、大雨や暴風と同じように警戒が必要なのが高潮です。高潮が発生すると、海辺の低い土地では一気に浸水が広がり、甚大な被害をもたらすおそれがあります。過去にも、1959年の伊勢湾台風や2018年の台風第21号など、深刻な高潮被害が多く発生しています。

そんな高潮から命を守るための防災気象情報が、2026年5月下旬から新しく生まれ変わる予定です。今回は、制度変更の背景とともに、具体的な変更点や高潮の恐ろしさ、備えのポイントを解説します。

高潮に関する防災気象情報が変更になった背景

これまでの高潮情報は、主に以下の3つの要素を踏まえた「潮位」を基準にしていました。

  1. 天文潮位:月や太陽の引力による「潮の満ち引き」で、特に満潮時は水位が高くなる。
  2. 吸い上げ:台風など気圧が低くなることで、海面が吸い上げられる現象。
  3. 吹き寄せ:強い風によって、海水が海岸に吹き寄せられる現象。

しかし、実際の高潮被害はこれらだけでは決まりません。新たに考慮されるのが波の打ち上げです。波の打ち上げとは、押し寄せた波が、海岸の堤防や護岸などの構造物にぶつかり、その勢いで斜面を駆け上がったり、せり上がったりしてさらに高い水位に達する現象のことです。

これまでは計算に含まれていませんでしたが、新制度ではこの上昇分も考慮した水位予測が行われます。今回の見直しでは、これまでの3要素に加えて、新たに波の打ち上げによる水位の上昇も考慮されることになりました。

また、現行の高潮情報には伝わりにくさという課題もありました。具体的には、高潮警報などの情報の名称と、自治体が発令する避難情報(警戒レベル)との関係が分かりにくく、住民が「いつ、どの情報で逃げればいいのか」を直感的に判断しにくいという面がありました。新しい制度では、この情報体系も整理され、高潮情報がより避難行動に直結する仕組みへと生まれ変わります。

警戒レベルと高潮に関する情報の変更点

以下に警戒レベルと高潮に関する情報の変更点をまとめています。

【新旧比較】高潮に関する情報体系の変化

これまでは高潮特別警報と高潮警報がいずれもレベル4相当として扱われていました。また、レベル5の高潮氾濫発生情報は都道府県、そのほかは気象台というように情報の発信元が異なり、名称もわかりにくいため、住民が状況を直感的に判断しにくいという課題がありました。

新制度では、国土交通省・気象庁・都道府県の3者が共同で情報を発表する形に一本化されます。さらに、大きな変更点として、レベル4に「高潮危険警報」という名称を新たに設定し、自治体が避難指示を出す基準であることを明確にしました。これに伴い、これまでレベル4扱いだった「高潮警報」はレベル3に、「高潮特別警報」はより命の危険が切迫した状況を示すレベル5となり、危険度の階段がより分かりやすくなります。

新たな防災気象情報で注意するポイント

これまでは「警報が出たら逃げる」という漠然とした意識になりがちでしたが、新制度では浸水被害のおそれがある状況から逆算して、具体的なスケジュール感をもって情報が発表されます。発表のタイミングと住民がとるべき行動は以下の通りです。

出典:水管理・国土保全局、気象庁「高潮に関する情報の改善

例えば、レベル3高潮警報は浸水が発生してからではなく、浸水被害のおそれがある状況となる約12時間前までに発表されます。言い換えると、高潮警報発表から災害発生まで約12時間の猶予があることになるため、時間に余裕を持って避難行動できます。

また、高潮は潮位が上がり始めると短時間で一気に浸水が広がるため、浸水が始まってからの移動や避難は困難になります。「まだ潮位が高くないから」と目先の状況で判断するのではなく、高潮情報に基づいて、安全な場所への移動を済ませておくことが大切です。

配信元: 防災ニッポン