同じこの国で同じ時代を生きるものとして
全町民に避難指示が出された富岡町、大熊町、双葉町、浪江町と東京はロッコクでつながっています。
原発。電力。復興。
主語が大きくなっていくと、なんだか自分とは遠い問題のように感じてしまうかもしれません。さらに、15年の年月が経つということで、もうすべて「過去のこと」で、すっかり元通りになったのだと思っている人もいるかもしれません。
日々の暮らしは連続していて止まることはないから、日々を越えていくことにいっぱい、いっぱいという人もいるかもしれません。
でもラジオのチューニングを合わせるように、少しだけ遠くに意識を向けてみると、そこにも自分と同じように、いろいろな想いを抱えながら日々を編む人たちのことが見えてきます。
「ロッコク・キッチン」は、福島から遠く離れた場所にいる人たちのチューニングを、日常の風景を通して、福島浜通りにそっとつないでくれます。
松川浦の朝日。「小松島」とも呼ばれる松川浦は風光明媚な場所でした
松川浦で宿泊したホテルのあさごはん。新鮮なお魚と、香り高いあおさの入ったあたたかなお味噌汁。朝から、からだもこころもあたたまる口福いっぱいの朝
福島浜通りのことが気になりながら、まだ足を運べずにいるという方は、まずは、この本を手に取ってみては。するすると赤い糸が結ばれて、気がついたらいつのまにかロッコクに降り立っている未来がやってくるかもしれません。
そうして、自分の足で歩いて、見て、聞いて、感じて、味わったのなら。それをまた誰かに、自分の言葉で伝えてみて欲しいなと、思います。
ずっと「東日本大震災」や「原発」というのぞき窓からしか見えていなかった、私の中の浜通りに、現地で出会った皆さんと、このエッセイに登場した人とごはんの数の分だけ灯りがともって、そこにある暮らしが立体感を持って見えてきた。
そんな気がしています。ぜひ、あなたの中の浜通りにも光をともしてみませんか。
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映画「ロッコク・キッチン」は全国各地で公開中
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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師 / オートキャンプ歴9年
学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。
