●「大家の代理」を名乗る家族の請求は有効か
──更新時の請求をしてきたのが、「大家の代理」を名乗る家族で、大家本人は「勝手にやったこと」と説明している場合、この請求は有効でしょうか。
賃貸借契約は、賃貸人と賃借人との間の契約です。賃貸人の正当な代理人でもない者が、契約変更を申し入れてきても、賃借人に応じる義務はありません。
相手が代理人を名乗るのであれば、賃借人としては、大家本人に確認する、大家からの委任状があるのか確認する、などの対応を取るべきです。
今回のように、大家本人が「家族が勝手にやった」と述べているのであれば、その家族の行為は無権代理(民法113条)にあたり、大家が追認しない限り効力は生じません。
つまり、このケースでは、家族からの敷金増額請求は、法的には有効とはいえない可能性が高いでしょう。
【取材協力弁護士】
坂野 真一(さかの・しんいち)弁護士
ウィン綜合法律事務所パートナー弁護士。京都大学法学部卒。関西学院大学、同大学院法学研究科非常勤講師。著書(共著)「判例法理・経営判断原則」「判例法理・取締役の監視義務」「判例法理・株主総会決議取消訴訟」(いずれも中央経済社)、「増補改訂版 先生大変です!!:お医者さんの法律問題処方箋」(耕文社)、「弁護士13人が伝えたいこと~32例の失敗と成功」(日本加除出版)等。近時は相続案件、火災保険金未払事件にも注力。
事務所名:ウィン綜合法律事務所
事務所URL:https://www.win-law.jp/

