「美容院脳卒中症候群」についてよくある質問
ここまで美容院脳卒中症候群などを紹介しました。ここでは「美容院脳卒中症候群」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
シャンプー中にめまいがした場合、脳卒中を疑った方がいいのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
シャンプー中にめまいを感じることは、必ずしも脳卒中を意味するわけではありません。内耳の異常による「良性発作性頭位めまい症」など、他の原因も考えられます。
しかし、美容院脳卒中症候群(BPSS)の初期症状として、めまいや吐き気は最も重要な警告サインです 。特に脳卒中を強く疑うべき「危険なめまい」には、以下の特徴が伴います。
・安静にしてもめまいが治まらない、または悪化する。
・強い吐き気や嘔吐を伴う。
・めまいに加えて、以下の症状のいずれかを伴う
・ろれつが回らない(構音障害)
・体が強くふらつき、立つことも歩くこともできない(運動失調)
・物が二重に見える(複視)
・顔や手足がしびれたり、力が入りにくい(麻痺)
・突然の激しい首や後頭部の痛み
これらの症状が一つでも現れた場合、それは椎骨脳底動脈不全が進行しているサインであり、一刻の猶予も許されません。めまい単独ではなく、これらが組み合わさって発症した場合、ためらわずに救急車を要請し、脳神経外科や神経内科の専門医による緊急診断を受けてください。「念のため」の受診が、命と将来の機能予後を左右します。
まとめ
美容院脳卒中症候群(BPSS)は、極めてまれな病気ではありますが、その結果として起こる脳卒中は、小脳や脳幹といった生命維持に重要な部分にダメージを与えるため、決して軽視できません。特に、動脈硬化や頸椎(首の骨)に持病がある方にとっては、シャンプー時の姿勢が致命的な引き金となり得ます。
私たちは、美容院でのシャンプーという日常的な行為を恐れるのではなく、この病気の仕組みと、誰にでもできる予防策を正しく理解し、実行することが最も重要だと考えます。
緊急時には「時間=命」です。 もし脳卒中を疑う症状(特にふらつき、ろれつ、複視、片側の麻痺)が出た場合は、迷わず救急車を要請し、専門的な急性期治療(t-PA療法や血栓回収療法)が可能な施設へ搬送されるよう依頼してください。早期に専門的な治療を受けることが、重篤な後遺症を防ぐ唯一の方法です。

