両眼の「白内障手術」は同日か別日か? メリット・デメリットを比較【医師解説】

両眼の「白内障手術」は同日か別日か? メリット・デメリットを比較【医師解説】

加齢とともに多くの人が経験する白内障。進行すると日常生活に支障をきたすこともありますが、治療法の進歩により、安全かつ短時間での手術が可能になっています。そこで、「横浜青葉いのうえ眼科」の井上友輔先生に、白内障の基本から手術方法、そして両眼同日・別日手術を選ぶときの考え方まで、詳しく話を聞きました。

※2025年11月取材。

井上 友輔

監修医師:
井上 友輔(横浜青葉いのうえ眼科)

2012年東京医科大学を卒業後、千葉西総合病院で初期研修を修了。筑波大学附属病院 眼科に入局し、日立総合病院、海谷眼科、水戸協同病院、茨城西南医療センター病院などで研鑽(けんさん)を積む。2022年より牛久愛和総合病院 眼科医長を務め、幅広い症例を経験。現在は横浜青葉いのうえ眼科院長として、白内障を中心に地域に根差した診療をおこなっている。日本眼科学会専門医。

白内障の基礎知識を医師が解説

白内障の基礎知識を医師が解説

編集部

白内障はどのような病気ですか?

井上先生

白内障とは、目の中の「水晶体」と呼ばれるレンズが濁ってしまう病気です。水晶体はカメラのレンズのようにピントを合わせる役割を持っていますが、加齢などによって濁りが生じます。初期はまぶしさや視界のかすみなどを感じ、進行すると視力が低下して日常生活に支障をきたすようになります。

編集部

加齢以外でも発症することはありますか?

井上先生

ありますね。外傷、アトピー性皮膚炎、ぶどう膜炎、または遺伝的な要因などによって若い人でも発症することがあります。また、強い紫外線を浴びる職業や喫煙もリスクを高めることが知られています。

編集部

進行するとどうなるのでしょうか?

井上先生

視界がかすんだり、物が二重に見えたり、光がまぶしく感じられたりするようになります。また、眼鏡を変えても改善しなくなり、夜間の運転や読書が難しくなることもあります。放置して失明に至ることはまれですが、生活の質(QOL)は大きく低下します。

白内障、治療の基本は?

白内障、治療の基本は?

編集部

どのような治療法がありますか?

井上先生

唯一の根本的な治療は「手術」です。点眼薬で進行を遅らせることはできますが、濁った水晶体を元に戻すことはできません。

編集部

具体的な手術法を教えてください。

井上先生

超音波で濁った水晶体を細かく砕いて吸い出し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。通常、点眼麻酔でおこなうため、痛みはほとんどありません。手術時間は10〜15分程度で日帰りが一般的ですね。手術翌日には多くの人が視覚の改善を実感します。見え方に慣れたり、術後の炎症が治ったりするのに数日かかることも多いですが、徐々に視界がクリアになっていきます。

編集部

眼内レンズには種類があると聞いたことがあります。

井上先生

そうですね。大きく分けると「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」があります。単焦点レンズは遠くまたは近く、その中間のいずれかに焦点を合わせます。健康保険が適用される一方で、焦点の合わない部分を見るときには眼鏡をかける必要があります。多焦点レンズは通常、「選定療養」という保険制度が選択され、やや高額にはなりますが、遠・中・近距離の見え方をバランスよく整えることができます。予算やニーズ、生活スタイルなどに応じて最適なレンズを選択します。

編集部

選定療養とは何ですか?

井上先生

選定療養とは、健康保険で受けられる治療に、患者の希望で保険適用外のサービスを組み合わせて受けられる保険外併用療養費制度の一つです。白内障手術そのものは保険適用ですが、多焦点眼内レンズなど先進的なレンズを選ぶ部分だけが保険適用外になります。つまり、全て自費になるわけではなく、手術の基本部分は保険でカバーされ、レンズの差額分だけを自己負担する仕組みです。

配信元: Medical DOC

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