在宅医療中の緊急対応

在宅医療で緊急事態が起きたときの流れを教えてください
在宅医療で緊急事態が起きたときの流れは以下のとおりです。
1.緊急時はまず連絡して相談する
在宅療養中に体調の急変があった場合は、まず訪問診療クリニックの緊急連絡先へ電話しましょう。患者さんの名前や、症状が出始めた時期、痛みや息苦しさの有無、意識や顔色、体温など、現在の状態を伝えることが大切です。
2.応急対応の指示を受ける
電話では、限られた時間のなかで状況を正確に把握するため、具体的な質問が行われます。
そのうえで、安静にする姿勢や楽な体位の取り方など、家族ができる範囲での応急対応があれば、落ち着いて行動しましょう。
担当者が到着するまでの間、呼吸や顔色など観察してほしいポイントが伝えられる場合もあります。
3.緊急往診か救急搬送かを判断する
電話で得た情報をもとに、担当医師が緊急往診を行うか、救急車の要請が必要かを判断します。
自宅での点滴や処置で症状の改善が見込まれる場合は緊急往診を行い、重い意識障害や強い呼吸困難など、命に関わる可能性がある場合には救急搬送が優先されます。
4.医療スタッフの訪問または病院への搬送
緊急往診となった場合は、医療スタッフが必要な医療機器や薬剤を準備し、自宅に訪れます。到着後は診察と処置を行い、症状の安定を図ります。救急搬送が必要な場合には、診療情報を整理し、救急隊や医療機関と連携しながら入院の対応が取られます。
5.診療後のフォローと情報共有
緊急対応後も、電話や再訪問による経過確認が行われます。今後の療養やケアに活かすため、緊急対応時の内容や注意点をケアマネジャーや訪問看護師などと共有する場合もあります。
在宅医療の際に救急要請を検討すべき症状はありますか?
在宅療養中は、体調の変化にいち早く気付き、落ち着いて対応することが重要です。なかでも、突然の強い胸の痛みや背中の痛み、息苦しさ、冷や汗を伴う症状が現れた場合は、心臓や大血管の重大なトラブルが疑われるため、迷わず医療機関へ連絡し、必要に応じて救急要請を検討しましょう。
また、意識がなく呼びかけに反応しない状態や、けいれんが長く続く場合も、生命に関わる可能性があるため、早急な対応が求められます。
一方で、高熱が続いて元気がなく、水分がほとんど取れない状態や、普段と明らかに異なる言動、急な興奮が見られる場合も注意が必要です。
軽い嘔吐や下痢などで、意識がはっきりしており水分摂取ができる場合は、急を要さないこともありますが、不安がある場合は自己判断しないようにしましょう。
緊急性の判断が難しいケースは、まず訪問診療の連絡先に相談し、指示を仰ぐことが大切です。
在宅医療では、様子を見るか、すぐに動くべきかで迷う場面も少なくありません。判断に迷った時点での相談が、結果的に患者さんの安全を守ることにつながります。
緊急時に備えて事前に準備できることはありますか?
在宅医療では、いざという場面に落ち着いて対応できるよう、日頃からの準備が重要です。
まず大切なのは、緊急時の連絡先や対応の流れを家族全員で共有しておくことです。訪問診療を開始する際に案内される緊急連絡先は、電話機の近くや冷蔵庫など目につきやすい場所に掲示しておくのがおすすめです。
併せて、保険証や医療証、薬手帳、診察券などは一ヶ所にまとめ、すぐに持ち出せる状態にしておきましょう。患者さんの既往歴やアレルギー、普段の体調やいつもの様子を簡単にメモしておくと、緊急時の情報共有にも役立ちます。
また、主治医や在宅医療チームと事前に相談し、どのような症状が出たら連絡すべきか、応急的にできる対応は何かを確認しておくことも重要です。起こりうる体調変化や今後の見通しを知っておくことで、急な場面でも判断しやすくなります。
さらに、日々の診療や定期訪問の際に、気になる変化や不安をため込まずに伝えることも、緊急事態を防ぐ備えの一つです。医療スタッフやケアマネジャーなど、多職種と情報を共有することで、早めの対応につながります。
緊急時の備えは、特別なことを用意するだけでなく、相談しやすい関係づくりと情報の整理が大切です。
編集部まとめ

ここまで在宅医療の緊急時についてお伝えしてきました。在宅医療の緊急時についての要点をまとめると以下のとおりです。
在宅医療とは、病気や加齢などにより通院が難しくなった方が、自宅や高齢の方向けの施設などで医療を受けられる仕組みのこと
在宅医療のメリットには、住み慣れた自宅で療養できることがあり、デメリットには、医療体制に限界がある点が挙げられる
在宅医療で緊急事態が起きたときは、①緊急時はまず電話で相談する②応急対応の指示を受ける③緊急往診か救急搬送かを判断する④医療スタッフの訪問または病院への搬送⑤診療後のフォローと情報共有という流れがある
在宅医療を安心して続けるためには、緊急時の流れや判断の目安をあらかじめ理解しておくことが大切です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
在宅医療について|公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団
在宅医療の体制構築に係る指針|厚生労働省

