娘が「彼氏を家に連れてくる」と言った日のことは、今でもはっきり覚えています。父親として覚悟はしていたつもりでしたが、いざその日が来ると、心はまったく落ち着きませんでした。
初対面の日、落ち着かない父
娘が初めて彼氏を家に連れてくることになりました。父親である私は、どう対応すればよいのかわからず、朝からそわそわしていました。そんな私に、妻は「堂々としていればいいのよ」とひと言。
堂々と? 言葉の意味はわかります。しかし、私の人生で「堂々とする」場面など、ほとんどなかった気がします。そもそも、そんなシチュエーションがなかったのです。
そうこうしているうちに、玄関のチャイムが鳴りました。インターホンのモニターを見ると、娘の隣に立っていたのは、華奢な体型で、どちらかというとおとなしそうな印象の青年でした。その姿を見た瞬間、思わず心の中でつぶやいてしまったのです。
「この子なら、私でも勝てそうだ」
何に勝つのかはわかりませんが、とにかくその瞬間、生まれて初めて「堂々と」してみようと思いました。
娘のひと言に受けた衝撃
いざ対面し、ぎこちない空気が流れる中、娘が彼に向かって「ほら、私のパパに似てるでしょ?」と言いました。一瞬、時間が止まったように感じました。ということは——娘にとって私は、「華奢で見た目が弱そうな男性」なのか? 胸の奥に、ずしりとした衝撃が走りました。
父親としては、もっと頼もしく、娘を守れる存在でありたいと思ってきたつもりです。できれば、娘をしっかり守ってくれる男性に託したいという気持ちもありました。それなのに、娘の中の私は「似ている存在」だったのです。正直、かなりショックでした。

