姉に子どもが生まれるわずか7日前のことでした。父は前触れもなく、突然この世を去りました。もうすぐ初孫に会えると、どこかうれしそうにしていた父。その姿を思い出すたびに、「あと少し早ければ」という気持ちが、今でも胸に込み上げてきます。
天井を見て笑うわが子
姉の子どもが生まれて間もないころ、ふと不思議に思うことがありました。まだ言葉も話せないその子が、よく天井を見上げて、にこにこと笑っているのです。
赤ちゃんにはよくあることかもしれません。それでも、時折ふわりと父が使っていた整髪料のにおいがすることがありました。そのたびに私は、「もしかしたら会いに来てくれているのかな」と、そっと心の中で思っていました。
仏壇の写真と「ジジ」のひと言
やがてその子が言葉を話せるようになったころのことです。仏壇に飾ってある父の写真を指さし、続けて天井を見上げながら「ジジ」と言いました。
その瞬間、またあの整髪料のにおいが漂った気がしました。偶然かもしれませんし、私の思い込みかもしれません。それでも、「子どもには何か感じるものがあるのだろうか」と思わずにはいられませんでした。
子どもには「ジジ」が見えていて、会えているのかもしれない。そう想像すると少しうらやましくもあり、同時に私ももう一度会いたいという気持ちがあふれてきました。

