パーキンソン病の治療法とは?メディカルドック監修医がパーキンソン病の治療法・治療で使用される薬・入院期間・治療期間・治療費用や何科へ受診すべきかなどを解説します。

監修医師:
神宮 隆臣(医師)
熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す
「パーキンソン病」とは?
パーキンソン病は、脳内のドパミン細胞が減少することで、運動機能に障害が生じる進行性の神経変性疾患です。主な症状には、手足の震え(振戦)、筋肉の硬直(筋強剛)、動作の遅れ(無動)、姿勢の不安定さ(姿勢保持障害)などがあります。
発症しやすい年齢は50〜60歳とされており、日本では平均寿命の延長および高齢者の増加に伴い、患者数も増加傾向にあります。なお、40歳以下で発症するものは若年性パーキンソン病と呼ばれています。
パーキンソン病の主な治療法
パーキンソン病に対する治療方法について詳しく解説します。
薬物治療
パーキンソン病の基本的な治療は薬物療法です。主に、脳内でドパミンに変換されるL-ドパや、ドパミンの働きを補助するドパミンアゴニストが使用されます。近年では、補助的な位置づけの薬剤が増えてきています。
薬物治療は基本的に外来で行われ、自宅で服用することが可能です。しかし、薬の調整やリハビリテーションと併用するために入院が必要となる場合もあります。
手術療法
薬の効果が不十分な場合には、手術が選択肢に入ります。
代表的な手術として、脳深部刺激療法(deep brain stimulation;DBS)があります。この手術では、淡蒼球や視床下核などの脳の部位に電極を埋め込み、微弱な電気を流すことで症状を抑えます。特に、運動症状や薬の副作用による異常運動(ジスキネジア)を軽減するのに効果が期待できます。
また、L-ドパ持続経腸療法として、胃ろうを造設し、ゲル状のL-ドパ/カルビドパ製剤を持続的に投与する方法もあります。
手術を行う場合は、通常脳神経外科で2~3週間程度の入院が必要となります。
リハビリテーション
薬物や手術に加えて、運動療法を取り入れることで症状の改善が期待できます。
リハビリは、日常生活の動作維持や運動能力の向上を目的とし、患者の状態に合わせたトレーニングが実施されます。パーキンソン病の際に生じる、小声になる症状に対してリハビリテーションすることもあります。
リハビリテーション入院が可能な病院もあり、通常2~4週間程度の期間で実施されることが多いです。
MRガイド下集束超音波治療
近年、脳の神経核を熱凝固させるために超音波を照射する経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(magnetic resonance-guided focused ultrasound therapy:MRgFUS)という手法が開発されました。これは、約1000本の超音波ビームを頭の外から標的に集中的に当て、温度を上昇させて凝固させるものです。頭蓋骨に穴を開ける(穿頭)が不要であり、DBSと異なり、刺激装置を体内に埋め込む必要がありません。薬物治療があまり効かないパーキンソン病の振戦症状に対して効果が示されています。現在では、保険適用ともなっています。DBSと違い、片側しか治療できないことや不可逆的変化で治療後に調整できない点などに注意が必要です。
磁気刺激療法・修正型電気痙攣療法
パーキンソン病の治療は、薬物療法や手術療法、リハビリが中心です。しかし、近年磁気刺激療法や修正型電気痙攣療法などについて研究が進んでいます。
例えば、反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS)によって、運動症状やうつ症状の改善に有効であるとする報告があります。しかし、これは保険適用外となります。効果や副作用について、さらなる検討が必要とされています。

