春の鯛は普通の鯛とどう違う?メディカルドック監修管理栄養士が栄養素・健康効果・保存方法について解説します。

監修管理栄養士:
流田 春菜(管理栄養士)
特別養護老人ホーム、老人保健施設、合わせて5年弱の勤務経験あり。また、山口県長門市の認定栄養ケア・ステーションファンスタディに所属、地域活動として市の家庭教育学級での講演や保育園の栄養相談などを行っている。こども食堂での食育経験もあり、こどもから高齢者まで幅広くお話させていただいています。
鯛とは?

鯛について
鯛は、スズキ目タイ科に属する魚で、北海道以南~南シナ海北部、朝鮮半島南部、台湾などの温暖な海域を好み、沿岸部から水深100メートルを超える深場まで広く分布しています。天然の鯛は長崎県や福岡県、愛媛県など西日本で多く水揚げされ、養殖は愛媛県、熊本県、高知県などで盛んにおこなわれています。
ぷりぷりとした食感と甘みが特徴の刺身、脂と旨味が引き立つ塩焼き、甘辛い味でふっくらしっとり食感の煮付け、などさまざまな調理法で食べられています。
また、昔から鯛は「めでたい」という言葉にかけられ、お祝い事に欠かせない魚としても親しまれてきました。赤い体色が紅白を連想させることも、鯛が縁起物とされる理由の一つです。結婚式やお食い初めなど「ハレの日」に供される代表的な魚として日本人に愛されています。
桜鯛について
鯛は春から夏の暖かい季節に産卵期を迎え、産卵前の3月から5月頃に水揚げされる真鯛を「桜鯛」と呼びます。この時期の真鯛は体色が赤からピンク色に変化し、オスは顔の周りに白い斑点が現れます。桜の時期に水揚げされること、ピンク色や白い斑点模様から桜を連想することなどが名前の由来です。
鯛に含まれる栄養素

たんぱく質
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのたんぱく質は20.9gです。たんぱく質は筋肉や臓器、髪や爪などをつくる元になる栄養素で、ホルモンや免疫物質の材料にもなります。たんぱく質の推奨量は日本人の食事摂取基準(2025年版)
によると以下の通りに設定されています。
・成人男性(18~64歳) 65g/日
・成人女性(18~64歳)50g/日
・妊婦(初期)50g/日(中期)55g/日(後期)75g/日授乳婦70g/日
ビタミンD
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのビタミンDは7.0㎍です。ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、骨や歯をつくることを助ける働きのある栄養素です。日本人の食事摂取基準(2025年版)によると一日の摂取目安量は18歳以上9.0㎍とされています。
カリウム
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのカリウムは450mgです。カリウムは体内の浸透圧を調整し、摂り過ぎたナトリウムの排出を促す働きがあるため、血圧の維持にも関与しています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の目安量は男性2500mg、女性2000mgとされており、生活習慣病予防の観点からはより多い摂取が望ましい目標量(男性3000mg、女性2600mg)も示されています。なお、腎機能が低下している方などカリウム制限が必要な場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう。
脂質
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりの脂質は9.4gです。脂質はエネルギー源であり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きがあります。また、青魚に多く含まれることで有名なDHAやEPAといった多価不飽和脂肪酸が鯛にも含まれています。DHAやEPAはn-3系多価不飽和脂肪酸の一種で、中性脂肪の低下に関与することが報告されています。LDLコレステロールやHDLコレステロールへの影響については個人差や摂取量によって異なりますが、血小板の凝集を抑える作用などを通じて血栓形成の抑制に関与するとされています。そのため、動脈硬化や心血管疾患リスクの低減との関連が示唆されています。なお、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのDHAは780mg、EPAは520mgです。
セレン
日本食品成分表(八訂)増補2023年によると、真鯛(養殖・生)100g当たりのセレンは36㎍です。セレンは微量ミネラルで、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素を構成する成分の一つです。抗酸化作用があり、皮膚の状態を健康に保つ働きがあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、一日の摂取推奨量は18歳以上の男性で30~35㎍、女性で25㎍(妊婦+5㎍・授乳婦+20㎍)です。
栄養素 含有量(100gあたり) 主な働き
たんぱく質 20.9g 筋肉、皮膚、免疫物質の材料
カリウム 450mg 塩分排出、血圧の維持
ビタミンD 7.0㎍ 骨や歯の形成を助ける
セレン 36㎍ 抗酸化作用、皮膚の健康維持
n-3系不飽和脂肪酸 DHA 780mg / EPA 520mg 中性脂肪低下、血栓予防

