お酒で顔が赤くなる人は特に要注意。日本人にこそ知ってほしい「体質とがん」の関係
編集部
米国国立がん研究所の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
中路先生
今回の研究で特に注目すべき点は、大腸がんの中でも「直腸がん」のリスクが約2倍と、結腸がんより高かったことです。直腸は便が長くとどまりやすい場所であり、その分アセトアルデヒドや腸内細菌が作り出す有害な物質にさらされる時間が長くなるため、この違いがリスクの差につながった可能性があるかもしれません。また、最近の研究では、アルコールが大腸がんを引き起こす仕組みは、単にアセトアルデヒドによるDNAへのダメージだけでなく、アルコール代謝の過程で発生する活性酸素、遺伝子の働きをコントロールする仕組みの乱れ、さらには腸内環境の変化など、複数の要因が関係していることがわかってきています。こうしたダメージが少しずつ蓄積し、リスクが高くなる可能性が考えられます。
今回の研究はアメリカ人を対象としていますが、日本人にも少なからず当てはまる部分があると考えます。というのも、日本人を含む東アジアの人のおよそ3割は、アルコールを分解する酵素(ALDH2)の働きが弱い体質を持っています。お酒を飲むと顔が赤くなる「フラッシャー」と呼ばれる人たちです。こうした人達は、体の中にアセトアルデヒドが長く残りやすく、同じ量を飲んでもDNAへのダメージが大きくなる可能性があります。そのため、この研究結果は日本人にとって、より強い警告として受け止めるべきでしょう。顔が赤くなる人は「少しだけだから大丈夫」と油断せず、飲酒習慣を見直すことをおすすめします。
編集部まとめ
今回の研究は、日々の飲酒習慣が積み重なることで、大腸がんのリスクが着実に高まることを示しています。「少し飲む程度なら大丈夫」と思っていても、長年にわたる習慣が体に与える影響は決して小さくありません。大腸がんを予防するためには、飲酒量を減らすことに加え、食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れ、腸の健康を日頃から意識することが大切です。お酒との付き合い方を今一度見直してみましょう。

