篠原涼子はなぜ主演を張り続けるのか?「ハケンの品格」「アンフェア」「パンチドランク・ウーマン」から紐解く圧倒的表現力

篠原涼子はなぜ主演を張り続けるのか?「ハケンの品格」「アンフェア」「パンチドランク・ウーマン」から紐解く圧倒的表現力

篠原涼子
篠原涼子 / ※ザテレビジョン撮影

ドラマ「パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系/Huluにて配信)で主演を務めている篠原涼子。繊細な感情の揺れをリアルにすくい取るヒューマンドラマでの体現力に加え、コミカルな掛け合いで見せるテンポの良さ、さらに極限状態に置かれた人物の狂気や執念をにじませる迫真の演技など、その表現レンジは幅広い。本記事では、そんな篠原のこれまでの歩みを出演作を通して振り返りながら、役柄ごとに異なる表情を刻んできた俳優としての魅力に迫っていく。

■アイドルから実力派女優へ…篠原涼子の軌跡

確かな演技力で数々の作品を支えてきた篠原だが、そのキャリアの出発点は“アイドル”だった。1990年に「東京パフォーマンスドール」のメンバーとしてデビューすると、「ダウンタウンのごっつええ感じ」などバラエティ番組にも出演しながら存在感を示し、1994年にリリースした小室哲哉プロデュース曲「恋しさとせつなさと心強さと」でダブルミリオンを達成。大ブレイクを果たした。

そんな篠原は、もともと芝居が大嫌いだったという。しかし、ドラマ「ナニワ金融道2」(フジテレビ系、1996年放送)にヒロインとして出演した際、プロデューサーに演技を褒められたことをきっかけに、そこから徐々に芝居に対する思いが変わっていったそうだ。

その後、「光とともに…~自閉症児を抱えて~」(日本テレビ系、2005年放送)で連続ドラマ初主演を務めたり、ドラマ「anego[アネゴ]」(日本テレビ系、2005年放送)や『アンフェア』シリーズ(フジテレビ系)、「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系、2013年放送)といった作品を通して、役柄の幅を着実に広げていった篠原。

映画「人魚の眠る家」(2018年公開)では第42回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(2018年公開)では第43回報知映画賞主演女優賞に輝いた。アイドルから女優への転身は決して平坦な道のりではなかったが、それでも真摯に役と向き合い続けてきた姿勢が、今の彼女を形作っているのだろう。

そして現在放送中のドラマ「パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−」で篠原が演じるのは、拘置所の女性区域“女区”を束ねる厳格な刑務官・冬木こずえ。塀の中で出会ったある殺人犯との関係を軸に、運命が揺らいでいく姿が描かれる。

規律を重んじる冷静沈着な人物像の中に、ふと滲む感情の揺らぎを、篠原は長年のキャリアで培ってきた演技力で見事に体現。表情がゆるんだり、視線が一瞬迷ったりする細かい芝居からは、彼女のこれまでのキャリアで積み上げてきた本領が存分に発揮されているように思える。

篠原涼子
篠原涼子 / ※ザテレビジョン撮影

■まさにはまり役…「ハケンの品格」「アンフェア」などで演じた“芯のあるカッコいい女性キャラ”

女優・篠原涼子と聞いて多くの視聴者が思い浮かべるのは、“芯の強い女性”の姿だろう。そのイメージを印象づけたのが、ドラマ『ハケンの品格』(日本テレビ系)シリーズで演じた大前春子だ。

“特Aランクの派遣社員”である春子は、組織の外側に立ちながら圧倒的なスキルを用いて現場を掌握していく存在。忖度や同調とは無縁で、必要なことを言い切る強さが場の空気を一変させていく。一方で、基本は無愛想で人に媚びない春子が、誕生日祝いで涙ぐんだり、裏で仲間を守ったりする姿からは、強さの奥にあるあたたかな人間味が垣間見える。

過去の辛い経験から“必要以上に人に深入りしない”と決めている春子を、篠原は繊細かつ立体的に表現した。2007年版の平均視聴率は20%を超え、最終回は26%を記録。強烈なキャラクターでありながら、春子に憧れる視聴者が多く、演じた篠原に対して「上司になってほしい」という声も多数寄せられるほどだった。

またドラマ『アンフェア』シリーズでは、難事件に次々と立ち向かう刑事・雪平夏見を演じた篠原。雪平は、ポーカーフェイスを保ちながら型破りな捜査で真実へと迫っていく頼もしい女性だ。バツイチで子持ち、大酒飲みでありながらも、検挙率No.1を誇る実力派という二面性のある雪平を篠原は確かな演技力で体現。

シリーズファイナル作品となる映画「アンフェア the end」の初日舞台あいさつでは、目にうっすらと涙を浮かべながら言葉を紡いだ篠原の姿が印象的だった。長年演じ続けた役柄への想いの深さが伝わる瞬間であり、雪平という存在が篠原の俳優人生において大きな転機となったことを感じさせた。

春子や雪平のように、強さの裏に繊細さを秘めた女性像は、篠原が演じることで一層説得力を帯びる。“芯のあるカッコいい女性”は、まさに彼女の代表的なはまり役といえるだろう。
篠原涼子
篠原涼子 / ※ザテレビジョン撮影


篠原涼子
篠原涼子 / ※ザテレビジョン撮影

■リアルな30代女性からシングルマザーまで…篠原が見せる“等身大の女性像”

ドラマや映画を通じて“かっこいい女性像”を体現してきた篠原。その一方で、恋や家庭に揺れる“大人の女性”を等身大で演じてきたことも、彼女の魅力を語るうえで欠かせない。

ドラマ「anego[アネゴ]」で篠原が演じた主人公の奈央子は、勤続10年の32歳ベテラン社員。後輩から慕われる“姉御肌”の存在でありながら、独身であることへの焦りを胸に抱えている。そこへ人事異動でやって来たのが、生意気な後輩・黒沢明彦(赤西仁)。年下男子のかわいさやミステリアスな雰囲気を漂わせる黒沢に振り回されながら、奈央子の日常は少しずつ変化していく。

頼もしさと親しみやすさを兼ね備えつつ、裏では誰にも見せない不安や葛藤を抱える奈央子。篠原は“30代女性のリアル”を過度にドラマチックにせず、等身大の姿で表現した。また、奈央子の“心の声”を文字で映し出すコミカルな演出も相まって、これまでの“芯の強い女性”像とは異なる、親しみやすいヒロイン像を印象づけている。

さらに、篠原が新たな一面を見せたのが映画「今日も嫌がらせ弁当」(2019年公開)だ。篠原が演じたのは、高校生の娘・双葉(芳根京子)と暮らすシングルマザー・かおり。反抗期の娘への“仕返し”としてかおりはキャラ弁を作り続け、母娘バトルを繰り広げていく…というストーリーだ。

本作で篠原は、ナチュラルメイクにメガネ、Tシャツにジーンズというラフな服装に身を包み、キャリアウーマンのイメージを脱ぎ捨てて、生活感のある母親像を体現している。娘のために毎日手の込んだ弁当を用意する彼女の表情からは、娘を想う母親のあたたかい感情がにじみ出ていた。

たくましく強い女性から、共感を呼ぶ等身大の大人の女性、さらには愛情にあふれた母親まで、長いキャリアの中で多彩な人物像を演じ続けてきた篠原。そうした積み重ねが、彼女の表現に確かな奥行きをもたらし、物語に新たな深みを与えている。

なお動画配信サービス・Huluでは、篠原が出演する「パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−」「anego[アネゴ]」「アンフェア」「ハケンの品格(2007)」「ハケンの品格(2020)」「今日も嫌がらせ弁当」などの作品を見放題配信中。
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篠原涼子 / ※ザテレビジョン撮影


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