
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『ミッシング・パーフェクト・アイドル』を紹介する。『アヤシデ 怪神手』(小学館刊)で知られる作者の水田マルさんが、9月2日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、4000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、水田マルさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■人気アイドルの秘密がSNSで拡散

恋中ちひろはテレビや雑誌、ドームツアーなど引っ張りだこ状態のアイドル。そんなちひろは、ある番組のインタビューで“アイドルを卒業する時はどんな時か?”と聞かれ、「完璧じゃいられなくなった時かな?」と返した。
「みんなの憧れと元気でいること」が完璧なアイドルだと語るちひろだが、ある日差し入れを持ってきたアイドルの研究生たちに“ある秘密”がバレてしまう。その秘密はSNSによって拡散され、多くの話題を呼んだ。それを受けてちひろは「今日でラストライブにしようと思うの」と言い…。
本作を読んだ人たちからは、「胸が締め付けられる」「最後まで読んで繋がる」「苦しい気持ち」「息を飲んでしまった」など、多くのコメントが寄せられている。
[HEAD]作者・水田マルさん「1つ分の言葉には1つ分の悪意がきっちり込められているんだぞと睨みつける気持ちで作りました」[/HEAD]

――『ミッシング・パーフェクト・アイドル』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
SNSでアイドルに対して心無い言葉を投げかけている人がより沢山見えるようになりました。普段誰か1人にでも嫌な言葉を投げかけられたら誰だって悲しくなるのに、それが何十人何百人にも投げられて、それに数千ほどの賛同がついていたりしている様子に強い怒りを覚えたのがきっかけです。アイドルはそれでも出来るだけ見えないふりをして強く輝くけれど、1つ分の言葉には1つ分の悪意がきっちり込められているんだぞと睨みつける気持ちで作りました。
――本作では、ちひろが苦悩している姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ハートが降り注ぐ世界のシーンがお気に入りです。そのシーンの全てに怒りと悲しみ、畏敬の念、アイドルとは何だろうという問いなどの全てをぶつけました。
――最初と最後はセリフがなく、含みを持たせていますが、ストーリーを考えた時点でこのような伏線を散りばめることを決めていたのでしょうか?
後味に関わるため、最初と最後のシーンはストーリーを構想した時から作画の終わり際のギリギリまで入れるか悩んでいました。でも自身の全てを捻じ曲げるくらいの強い痛みをこらえて輝ききることをただの美しい話として届けるのは絶対に違うだろうと思い、入れる事を決めました。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
洋服や雑貨を見ている時や映画を観ている時など良い色の組み合わせを見つけた時にそれが過去の心を動かした出来事と結びついて形になることが多いです。
――今回のお話はアイドルが主役で、コンサートの様子や雑誌に掲載されているシーンなどがいくつかありました。細部までこだわっている印象がありますが、本作を描くにあたって、時間をかけた箇所や何度も描き直したシーンがありましたらお教えください。
「全部知ってた!」と叫ぶところの表情を何度も描きなおしました。連載中の息抜きに進めていた作品なので背景を所々アシスタントさんにお願いしているのですが、雑誌はアシスタントさんが自分がお願いした以上にこだわって描いてくれました。本当にありがたいです。
――今後挑戦してみたいジャンルやテーマがありましたらお教えください。
描きたいものは常に10個くらいあるんですがどれもそこそこファンタジーなのでいつかとにかく深く取材を重ねることで成し遂げられる物語に挑戦したいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
ずっと魂燃やして走り続けるからよろしくな。

