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柳葉敏郎「きっと同じ気持ちになれるお話が必ずある」 1話3分に凝縮された、時代を経ても変わらない“人の触れ合い"

柳葉敏郎「きっと同じ気持ちになれるお話が必ずある」 1話3分に凝縮された、時代を経ても変わらない“人の触れ合い"

柳葉敏郎
柳葉敏郎 / 撮影=原田みのり

柳葉敏郎が主演を務める本格時代劇ショートドラマ「まめで四角でやわらかで」(毎週月曜・木曜朝7:00、作品公式YouTubeチャンネルにて配信)の4話まとめての総集編が、時代劇専門チャンネル公式YouTubeにて隔週日曜昼12時より配信されている。

本作は、江戸の庶民の生活の機微を丁寧に描いた時代劇コミック「まめで四角でやわらかで」を初映像化したショートドラマ。各話約3分という、スマートフォンで手軽に楽しめるサイズ感の時代劇だ。また本作の世界観を共有した縦型スピンオフドラマ「江戸にログインしました。」も展開されている。

舞台となる人々の活気と温もりに満ちた町・江戸で生きる喜兵衛役の柳葉にインタビュー。本作の魅力をはじめ、時代劇を京都で撮影する楽しさや映像作品の新しい形に感じることなどをたっぷりと語ってもらった。

■「京都の撮影所にはものすごく緊張感と情熱がある」

ーー今回は映画「仕掛人・藤枝梅安」(2023年)ぶりの時代劇かつ京都での撮影と聞きました。

京都の撮影所はやっぱりものすごく緊張感があるんでね。現代劇以上に“人の手”で作っているという空気…いかにも“撮影現場”というあの緊張感は、やっぱり定期的に味わいたいなと思います。

ーー柳葉さんは本作の制作が発表された際、「京都のスタッフの皆さんの熱い情熱に触れ、私自身も改めて精進しなければと強く感じました」とコメントしていましたが、具体的にどのような部分に情熱を感じましたか?

“人が動いている”ということです。小さなことから壮大なことまで、人が生(なま)で、汗をかいて動いている。スタッフが自らの足で情報を得て、自分たちの手で作っていく姿を現場で目の当たりにできるんです。出来上がったものの中に僕たちがポンと入るのではなく、現場で一緒に作り上げていく。これが京都の撮影所の“ものづくり”に対する情熱であり、日本文化の一つなんだなと感じます。僕らの世代は間違いなくそこで育てられましたから。そうした現場が少なくなりつつある今だからこそ、改めてその大切さに感銘を受けています。

■「三谷(昌登)さんがいなかったら、僕はくじけていた」

ーーでは、本作のオファーを受けた決め手を教えてください。

脚本家でもあり、役者でもある三谷(昌登)さん。彼と今回一緒にお仕事ができるというのもあって、二つ返事でやらせてもらうことになったんです。彼は僕の中でとても大きな存在で、連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年~2024年、NHK総合ほか)で役者としてご一緒させてもらったとき、彼がいなかったら、僕はくじけていたかもしれません。彼の空気を変えてくれる力に感謝していたので、三谷さんが脚本を担当されているこの作品に出演することで、何か少しでも恩返しできたかなと。

ーー作品に関してはどのような印象を受けましたか?

「こんな作り方があるんだ、こんな見せ方があるんだ」と驚き、面白そうだなと思いました。僕にとっては初めての経験だったので、挑戦でもあり、冒険でもありました。そういった気持ちを持って仕事に取り掛かる楽しさがありました。

ーーそれは、ショートドラマという形式に関してですか?

ドラマは原作よりもさらに短い一編となっているのですが、「どこをチョイスするんだろう」「観てくださる方々に何を主張するのか」という“楽しさ”ですね。あと、これは僕の俳優としての性(さが)なんでしょうけど、どうしてもプラスアルファでアドリブを入れたくなる。でも、9割方カットされています(笑)。だから、出来上がりが楽しみでした。

ーーカットされて残念だったシーンはありますか?

ありません。この短い時間でどれだけ視聴者に楽しんでもらえるかが一番で、監督の選択がベストですから、何の不満も後悔もないです。

■「撮影は毎日楽しかった。この現場の空気感が好きでした」

ーーショートドラマだからこそ感じたことはありますか?

単純なのが一番なのかなと。シンプル・イズ・ベスト。だから(アドリブが)9割方カットされてるんだけど(笑)。もちろん監督が思い描いている構想の中で僕たちは動くわけですが、どれだけ忠実でいられるかを大切にしつつ、それをちょっといじってみたいなという冒険心もありました。

ーー共演者との印象に残っている出来事はありますか?

娘(お梅)役の岡祈里さんと、お母ちゃん(お松)役の松岡依都美さん。親子関係をどう作ろうかなと思っていたら、子どもの方から、親指を立てながら数字を言い合うゲームに誘ってくれて。あれで盛り上がったね。“今ドキじゃない遊び”で、楽しく時間を過ごしました。

ーーお話を伺っていると、現場で本当に楽しく過ごされていたことが伝わってきます。

現場の空気感が好きでした。僕らの世代が経験した現場がそこにあった、ということですね。懐かしさと、うれしさ。残念ながら今の時代は“やってはいけないこと”の方が多いので、以前と比べると現場が静かなんです。それは良さでもあると思うのですが、僕からしたら少し活気がないと思ってしまって…。“感覚”で生きていますから、そういうものが少なくなってくると、寂しいというか、感じ取れない。でも、今回はそんな活気を久々に味わえました。

■「やっぱり庶民が一番いい。またやりたい」

ーー江戸庶民の暮らしを描いた本作ですが、実際に演じてみて、この時代の暮らしに魅力を感じましたか?

心の豊かさですよね。冬は今よりずっと寒いけど、心が温かくなるコミュニケーションがある。日本独特の風習であり、文化であり、生活である。それを現代の皆さんはあまり体感していませんが、だからこそ、その余白を作るために、今この時代劇が皆さんのところに少しずつ届いているのかなという気がします。

ーー本作をはじめ、そんな“メイド・イン・ジャパン・コンテンツ”の魅力について、時代劇を通して改めて感じたことはありますか?

時代劇に限らず、日本の伝統的なものについてですが、日本って島国じゃないですか。やっぱり歴史に“鎖国”という大きなものがあって、それによって日本特有のものがいろいろと生まれてきたと思うんです。それが何なのかと言うと、あまり多くの情報がない中で、自分たちで考えて、自分たちで動いて培ってきた独特の文化。それが全てにつながっているんだと思います。ただ、今の時代、果たしてそれを皆さんが分かって感じて生きていらっしゃるかというと、ちょっと僕の中ではクエスチョンマークがつきますけどね。

ーーでは、役者として感じる時代劇の魅力についても教えてください。

自分で見たことのない世界だからこそ「こういうことあり得るよな」「こうだったかもしれないよね」と想像力を膨らませながら作ってきました。やる側もそうですが、見る側も「えー!そんなバカな」と思うことを、スッと受け入れて見ることができる。時代劇の楽しさってそこにあるんじゃないかな。戦国時代の面白さもあるし、侍も忍者も面白い。でも、やっぱり庶民が一番いいな。またやりたいね。人はズッコケたり、ドジったりするのがいいんですよ。

■「(SNSやサブスクでの映像作品の増加は)作る側の人間としては『ありがたい』」

ーーそんな時代劇ですが、予算や土壌が昔に比べて減っているという話を聞きます。作品数が減っていることへの危機感はありますか?

時代劇がどうこうというよりは、すべてのオールドメディア作品においてそうなのかなと。今はSNS経由で発信することが多く、それは幅広くあるいは奥深く届くのかもしれない。縛られるという言い方が合っているか分からないけれど、今のところはSNSやサブスク作品の方が“縛られ感”も少ないですし。僕は昭和のテレビっ子ですから、テレビを通して作品を見るのが常ですけどね。ただ、作る側の人間としては、「ありがたいな」と思っています。実際に減少しているのかもしれないけれど、違う形で新たに動き出しているような気もします。この作品はその一つだと思っているので、そこに参加できたことはものすごく役者冥利に尽きますね。

ーー役者として、テレビ以外の媒体で映像作品が増えていることについてはどう感じますか?

感謝しかないですよ、自分の仕事は見ていただいてナンボですから、自分の働き場所が増えるなんて、これ以上うれしいことはありません。もちろん共感だけではなく、批判ありきでこの仕事をやる覚悟はしていますので、そこの楽しみもあります。やっぱりこの歳になると、周りは何も言ってくれないことも多いですから。僕が意見をもらえる場所が増えたらありがたいな、ということです。

ーー視聴者のコメントなど反響はどうですか?

感想は、直接もらっています。家の近所の仲間たちに「見たよ!」と言われて、「どうだった?」って聞くと、「あれさ…もうちょっとさ…」とか、平気で言いますからね(笑)。そんな実際の生の声を受けて、僕の中に吸収させてもらっています。

ーー柳葉さんの生活には江戸のような“温かさ”があるのですね。では、最後にこれから本作を見る人へのメッセージをお願いします。

何も考えずに見てください。きっと、いずれかのエピソードに、同じ気持ちになれるところがあると、僕は思っています。短いけれど、人が人を想う何かが“ある”んです。

ーー柳葉さんも共鳴する部分があったのでしょうか?

全部ですよね。あの男(喜兵衛)は決して優れた男ではない。お母ちゃんに怒鳴られ、娘に鼻で笑われ…でもそれは馬鹿にされているわけではなくて、ちょっとだけ頼ってもらえる存在。やっぱり“人の触れ合い”がいっぱいある気がします。今こうやって偉そうに話していますが、実生活の僕も、ふと振り返るとカミさんの手の平の上だなと(笑)。それは江戸時代に生きた人たちと変わらない部分なんじゃないかと思いますね。

構成・取材・文=戸塚安友奈

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