■第一子育児での強烈な後悔
――藤本さんは第二子の皐月ちゃんが生まれたときに半年間の育休を取得されたそうですね。育休を取得した理由を教えてください。
藤本さん 赤ちゃんの成長をすべて見届けたい、育児や家事を夫婦で分担したい、お互いの実家が遠く頼れる環境にないなど、理由はいくつかあるのですが、一番大きかったのは「第一子の誕生のときに取得できなかった後悔」ですね。息子が生まれた2019年当時は、私がちょうど今の会社に転職した直後で業務の習得に忙しく、育休を取れる状況にありませんでした。
――転職直後だと、なかなか「休みます」とは言い出しにくいですよね。
藤本さん そうなんです。また当時はコロナ前で、毎日出社しており帰宅時間が遅くなることが多かったです。そのため妻に極端に負担が偏っていました。ある日、妻がどうしても朝に起きられない日がありました。でも、自分もやらないといけない業務があって朝から出社しなければならない。 どうしたと思います? 私は座ることができるようになってまだ間もない息子をベビーチェアに乗せ、動かないようにベルトをし、そのまま会社に行ったんです。
――ええっ!?
藤本さん 今振り返ると異常事態ですよね。その後、妻が泣きながら電話をかけてきて……。そこでハッと我に返りました。「やってしまった、これはダメだ」と、急いで家に戻りました。当時の強烈な心残りがあって、「2人目は絶対に育休を取る。それも中途半端な期間じゃなく、しっかり取る」と心に決めていました。
――そんなエピソードがあったのですね……。それで今回は満を持しての半年間だったと。
藤本さん はい。私の仕事は経理なのですが、決算業務が5月末で一区切りつくので、繁忙期を避けた6月からなら職場への影響を最小限にできるかなと考えました。12月復帰は育休中のキャッチアップをして次の決算に向けて準備するのにもちょうどいいタイミング。妻も「なるべく長く取ってほしい」という希望だったので、夫婦の意見が一致していましたね。
――育休の取得希望を会社に伝えたのはいつごろでしたか。
藤本さん 早めの環境調整が大事だと考え、妻の妊娠がわかってすぐに人事と上司に相談しました。上司からは育休取得に背中を押してもらい、私の不在中は派遣社員の方に入っていただくことになったのですが、一般的な事務の方ではなく、経理に特化したプロフェッショナルな人材をお願いすることに。コストはかかりますが、即戦力となる方を採用してもらうことで、現場の負担を最小限にできたと思います。会社側も快諾してくれて、非常に手厚くサポートしてもらえました。当社グループ全体の男性育休取得率は74%(2024年実績値)で、男性が育休取得することを後押しする文化が根付いていると感じます。
――それは心強いですね。実際の引き継ぎはスムーズにいきましたか?
藤本さん はい。その派遣社員の方には早い時期から入ってもらい、5カ月間かけてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:実際の業務を行いながら、仕事を教えること)でみっちり引き継ぎを行いました。 経理業務・決算業務は3カ月サイクルの積み重ねなので、私の仕事を二人三脚で進め、ノウハウやコツをすべて伝えていきました。部署のメンバーからも理解を得られ、業務が円滑に回る体制を事前に整えてもらい心強かったです。

「育休中に美瑛・富良野へ。 息子が年長で小学校に入る前だったので、平日にのんびり旅行に行ける最後のチャンスかも?と思い行きました」(藤本さん)
■新生児期に入院、生後半年まで4回の体調トラブル
――育休を取得されたのは6月からということですが、ちょうどその時期に皐月ちゃんが誕生されたのでしょうか?
藤本さん いいえ。娘が生まれたのは、5月です。妻と生まれたばかりの娘は実家に里帰りし、私は東京の自宅に残って、保育園に通う5歳の息子と2人暮らしをしていました。平日は息子を保育園に送り迎えし、週末になったら2人で電車に乗って妻と娘に会いに行く、という生活でした。そんな離れ離れの時期に、娘が「尿路感染症」で入院することになってしまって……。
――生まれてすぐに入院されたのですか?
藤本さん 生後1カ月経たない新生児の頃です。さらに東京に戻ってきてからも、6月末に今度は「手足口病」にかかって入院。退院したと思ったら8月に2回目の手足口病、9月に謎の高熱……。生後半年までの間に、体調トラブルが4回もありました。
――それはそれは……。もしも育休を取っていなかったらと思うとゾッとしますね。
藤本さん 本当にそうです。6月末の入院のときは、私も病院で付き添いをしました。息子のケアもありますし、妻の産後の体調も万全ではない中、もし私が育休を取れていなかったら、どうなっていたのか……。あのタイミングで休んでいて本当によかったです。

「兄と同じポーズができて、妹がニッコニコ!」(近藤さん)
