パーキンソン病の姿勢反射障害を軽減するリハビリ
パーキンソン病による姿勢反射障害があると、立つ・座る・歩くといった日常の動作でふらつきやすくなります。そして、いったんバランスを崩すと元の体勢に戻りにくくなります。
また、身体が硬くなり、筋力が落ちていると、さらに姿勢の調整が難しくなります。そのため、身体の柔軟性を保ち、筋力の維持や向上が重要です。
ここでは、パーキンソン病の姿勢反射障害改善のためのリハビリテーションやトレーニングを紹介します。
これらは、病院などの医療機関や、訪問リハビリとして自宅などで行われます。自宅でも行うことができるトレーニングもあります。理学療法士などのリハビリ担当者や、主治医と相談しながら、自分自身に合った運動に取り組むことが大切です。
ストレッチ
背中の筋肉を伸ばすような運動をして、前屈みになり転びやすくなることを予防しましょう。
壁に向かって座り、両手を壁につけ、窓拭きをするようなイメージで手を徐々にあげるようにします。立った状態でも運動ができます。壁を背中に向け、前屈みにならないように気をつけながら背中を壁につけていきます。
筋力訓練
背中を伸ばす力を保つ運動もあります。うつ伏せに寝転び、両肘を床についてできるだけ顔を上げます。左右交互に手を伸ばし、伸ばした手を見るようにします。次に、左右交互に足を持ち上げます。
リズムや音楽に合わせた歩行訓練
パーキンソン病で姿勢反射障害や歩行障害がみられる場合には、外からの合図(キュー)を利用したリハビリが有効とされています。代表的な方法として、音楽や一定のリズムに合わせて歩く訓練や、床のラインなど視覚的な合図を使った歩行練習があります。これらの訓練は、小脳や運動前野といった動きを調整する脳の回路を活性化すると考えられており、患者さんがより効率よく動作を学習できる点が特徴です。
実際に、リズムに合わせて歩く練習は、自分のペースで歩く場合と比べて、歩く速さや歩幅などが有意に改善したという報告があります。そのため、姿勢反射障害を伴うパーキンソン病の患者さんにとって、こうした外部の合図を取り入れたリハビリは試す価値が高い方法といえるでしょう。
バランス練習
パーキンソン病では、立ち上がりや方向転換、歩行の開始などの姿勢の切り替えが難しくなるため、バランス能力そのものを高めるトレーニングが重要です。例えば、片足立ちを短い時間だけ練習するなどの方法があります。
動作観察治療
運動やバランスの取り方を映像で見て、その動きをまねして実際に行うリハビリ方法があります。これは、私たちが誰かの動きを見るだけで脳の中の、まねる神経(ミラーニューロン)が働き、動きを学びやすくなるしくみを利用したものです。
パーキンソン病の患者さんでも、この「動作観察治療」がリハビリに役立つ可能性があると考えられており、実際に姿勢やバランスの改善に取り組んだ研究も報告されています。
「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問
ここまでパーキンソン病の姿勢などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
パーキンソン病のリハビリにおいて禁忌事項があれば教えてください。
神宮 隆臣 医師
パーキンソン病のリハビリでは、基本的に「避けるべき運動が多い」というわけではありませんが、症状や病期に応じて注意が必要な点はいくつかあります。まず、転倒リスクが高い場合には、不安定な姿勢での無理な運動や急激な方向転換は避けるべきです。また、極端に激しい運動を突然始めることは、筋肉や関節に過度な負担がかかり、かえって症状を悪化させる可能性があります。
さらに、薬の効果が切れやすい時間帯(オフの時間)には動きが不安定になりやすいため、その時間帯のトレーニングは慎重に行う必要があります。毎日の体調に合わせて運動強度を調整し、疲労が強い日は無理をしないことが大切です。どの程度の運動が適切か迷う場合には、医師や理学療法士に相談し、安全に継続できるプログラムを組んでもらうと安心です。

