白内障治療の費用は治療方法や使用する眼内レンズの種類により大きく異なります。保険適用による標準的な治療から自由診療による多焦点レンズまで、それぞれの費用について詳しく解説します。経済的な負担について正しく理解し、適切な治療選択を行いましょう。

監修医師:
花房 彩(医師)
2013年埼玉医科大学卒業。卒後、埼玉医科大学病院にて初期研修を行い、同院眼科に入局。
2019年より行定病院、2022年より小江戸眼科内科、2025年よりくらかず眼科に就職。
【資格】
日本眼科学会 眼科専門医
白内障治療にかかる費用の詳細
白内障治療の費用は、治療方法や使用する眼内レンズの種類により大きく異なります。経済的な負担について詳しく解説します。
保険適用による標準的な治療費
日本では、白内障手術は健康保険の適用対象となっており、患者さんの経済的負担は大幅に軽減されています。3割負担の場合、片眼あたりの手術費用は約4万5千円程度となります。
手術費用には、術前検査、手術手技、使用する単焦点眼内レンズ、術後の薬剤費などが含まれています。入院が必要な場合でも、通常1~2泊程度であり、入院費用を含めても10万円以内で治療を受けることができます。
高額療養費制度の適用により、月額の医療費が一定額を超えた場合は払い戻しを受けることができます。70歳以上の方では、外来診療の自己負担限度額がさらに軽減され、経済的な負担はより少なくなります。
術前の詳細検査費用も保険適用となります。角膜形状解析、眼軸長測定、眼底検査などの精密検査を受けても、数千円程度の自己負担で済みます。術後の定期通院費用も同様に保険適用となり、長期的な治療費も抑制されます。
自由診療における多焦点レンズの費用
多焦点眼内レンズを使用する場合、自由診療となるため費用は大幅に上昇します。レンズの種類や医療機関により異なりますが、片眼あたり30~70万円程度が一般的な費用となります。
2焦点レンズは費用が抑えられ、片眼30~45万円程度で治療を受けることができます。3焦点レンズや乱視矯正機能付きのレンズでは、片眼50~70万円程度の費用がかかります。
これらの費用には、特殊な術前検査、手術手技、高機能眼内レンズ、術後の調整やメンテナンスなどが含まれています。ただし、医療機関により費用設定が異なるため、事前に詳細な見積もりを確認することが重要です。
多焦点レンズ手術は医療費控除の対象となります。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告により税金の還付を受けることができます。家族の医療費と合算することも可能で、実質的な負担軽減に繋がります。
まとめ
健康保険適用の白内障手術は3割負担で約4万5千円程度ですが、多焦点レンズを使用する自由診療では片眼30~70万円程度の費用がかかります。高額療養費制度により月額の医療費負担は軽減され、多焦点レンズ手術は医療費控除の対象となります。治療方針により費用が大きく異なるため事前の確認が重要です。
参考文献
白内障手術におけるDPCによる包括支払制度の評価
科学的根拠(evidence)に基づく白内障ガイドライン策定に関する研究
多焦点眼内レンズとの付き合い方

