
横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。9月28日に放送された第37回「地獄に京伝」で、歌麿(染谷将太)の妻に関する不穏な描写に視聴者が注目した。(以下、ネタバレを含みます)
■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く
森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。
蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎の一つといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。
幕府“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙、美人画が大評判となる喜多川歌麿役で染谷将太、蔦重の妻・てい役で橋本愛らが出演。語りを綾瀬はるかが務める。
■妻・きよに肉筆画の依頼をうれしそうに報告する歌麿
ご政道を風刺する本を出すと、お咎めを受けることになる。それを恐れて戯作者たち、とくに武士のかたわら仕事していた者たちは筆を置くことに。そんな状況に蔦重が頭を悩ませる中、歌麿の元に栃木の商人から依頼があった。
昆虫や植物などをありのままに写し取った歌麿の絵にほれ込んでいる商人は、版画ではなく、肉筆画を希望。いわば一点物で、高い値がつくだけでなく、絵師としての名も高まる仕事であった。
1人の絵師として認められてきていることに喜ぶ歌麿は、自宅のふすまにトンボの絵を描きながら、妻・きよ(藤間爽子)に報告する。きよもまた喜んでくれ、歌麿はそんなきよを抱きしめながら、「おきよがいたら、俺、なんでもできる気がするよ」と言うのだった。
ただ、その直後に、きよの足元が映し出された。その皮膚にはポツンと赤いできものが……。ほんの数秒のシーンに、少しだけ心がざわついた。
■幸せいっぱいの歌麿&きよ夫婦に忍び寄る不穏さ
日は変わり、蔦重から新たな仕事の依頼を受けた政演と一緒に自宅へ戻って来た歌麿。そこに、きよが茶を運んできた。すると、きよの足元がまたアップになる。その足には前のシーンよりもできものが増えていた。
耳が聞こえず、話すこともできないきよは、歌麿と出会う前、洗濯女をしていた。洗濯仕事を引き受けながら、それだけでは食べられず、身を売ってもいた。
視聴者からは、「梅毒?」「大丈夫かな」と、きよの身を案じる声が続々と上がった。梅毒とは、江戸時代に女郎たちにも蔓延した病気で、赤い発疹が出るのが症状の一つ。治療法が確立していない当時は、死に至ることもあった。
SNS投稿の中には、「鬼脚本」「脚本に人の心はないんか」「えぐい脚本」というものも。これまでを振り返ると、蔦重と初恋相手の花魁・瀬川(小芝風花)、花魁・誰袖(福原遥)と意次の嫡男・意知(宮沢氷魚)、元浪人の新之助(井之脇海)と元女郎だったふく(小野花梨)と、幸せをつかんだかに見えた直後に悲しい別れが描かれてきた。その経緯から、ようやく幸せになった歌麿に不穏な影が忍び寄ったと考えてしまうのだ。
「おきよがいたら、俺、なんでもできる気がするよ」。歌麿の言葉が耳に残る中、追い打ちをかけるように、次回、10月5日(日)放送の第38回予告で、歌麿が病床のきよを抱きしめて「いかねえで…」と言うシーンがあった。目が離せない展開が続く。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

