「大腸がんの抗がん剤」についてよくある質問
ここまで大腸がんの抗がん剤などを紹介しました。ここでは「大腸がんの抗がん剤」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
大腸がんはステージいくつで抗がん剤治療を行うのでしょうか?
齋藤 雄佑 医師
大腸がんにおける抗がん剤治療の適応は、がんの進行度合い(ステージ)によって大きく異なります。StageII期の大腸がんでは、手術単独で治療されることが多いです。しかし、再発のリスクが高い特定の条件下では、術後補助化学療法が検討されます。StageIII期の大腸がんでは、手術後に再発を抑制し、予後を改善する目的で術後補助化学療法が強く推奨されます。治療期間は原則6ヶ月ですが、患者さんの状態や副作用のリスクに応じて短縮する場合もあるため、担当医に確認が必要です。StageIV期、すなわち遠隔臓器に転移がある大腸がんや、手術後に再発した大腸がんに対しては、全身薬物療法が治療の中心となります。これは、がんの進行を遅らせ、症状を緩和し、延命を目指すことが目的です。この場合も、患者さんの全身状態、がんの遺伝子変異の有無を詳しく検査し、最も適した薬剤が選択されます。このように、大腸がんの抗がん剤治療は、がんのステージや個々の患者さんの特性に応じて、最適な選択肢が提案されます。
編集部まとめ さまざまな抗がん剤や放射線療法について特徴を理解しよう
本記事では、大腸がんの治療において重要な役割を果たす抗がん剤の種類、それに伴う副作用、そして抗がん剤以外の多様な治療法について解説しました。大腸がんの治療は、がんの進行度や遺伝子情報、患者さん一人ひとりの全身状態に応じて、内視鏡治療、手術、放射線療法、抗がん剤治療などが組み合わされる集学的治療が基本です。特に抗がん剤治療はさまざまな種類があり、それぞれの薬剤ががん細胞の異なる特性を標的とすることで、治療効果の向上が図られています。治療に際しては、血液毒性や消化器症状、末梢神経障害、皮膚障害など、さまざまな副作用が現れる可能性があります。これらの副作用は、患者さんの生活の質に大きく影響するため、治療開始前から十分な説明を受け、治療中も医療チームと密に連携し、症状を早期に伝え、適切なケアを受けることが非常に重要です。大腸がんの治療は日々進歩しており、新しい薬剤や治療法が開発されています。患者さんご自身が病気と治療について理解し、疑問や不安なことは遠慮なく担当医や医療スタッフに相談することで、納得のいく治療を選択し、より良いQOLを維持しながら治療に臨むことができるでしょう。

