自覚症状に乏しい脂肪肝は、定期的な健康診断や人間ドックで初めて指摘されることがほとんどです。血液検査や画像検査を通じて、肝臓の異常を早期に発見することができます。検査結果の数値が何を意味するのかを理解することで、適切な対処につなげることが可能です。ここでは、検診で用いられる検査方法とそのポイントを紹介します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
定期検診で発見される脂肪肝のサイン
脂肪肝は自覚症状が乏しいため、健康診断や人間ドックなどの定期検診で初めて指摘されることが大半です。血液検査や画像検査を通じて、肝臓の異常を早期に発見することができます。
血液検査で分かる肝機能の異常
血液検査では、肝臓の状態を反映する複数の数値を確認します。代表的なものが、AST(GOT)とALT(GPT)という酵素の値です。これらは肝細胞が傷つくと血液中に流れ出るため、数値の上昇は肝臓のダメージを示します。
特にALTは肝臓に特異的な酵素であり、脂肪肝では正常値(基準値は施設により異なりますが、一般的に30IU/L以下)を超えて上昇することがあります。ただし、数値が正常範囲内でも脂肪肝が存在する可能性はあるため、画像検査との組み合わせが重要となります。
γ-GTP(ガンマGTP)も重要な指標です。この酵素はアルコールや薬物の影響を受けやすく、特にアルコール性脂肪肝で高値を示す傾向があります。アルコールを控えているにもかかわらず高値の場合は、非アルコール性脂肪肝の可能性が考えられるでしょう。
そのほか、中性脂肪やLDLコレステロール、血糖値なども参考になります。これらが高値の場合、メタボリックシンドロームの一環として脂肪肝を併発している可能性があります。総合的に判断することで、より正確な診断につながるのです。
画像検査による脂肪肝の確認
超音波検査(エコー検査)は、脂肪肝の診断に広く用いられる検査です。肝臓に脂肪が蓄積すると、超音波の反射が強くなり、画像上で肝臓が白っぽく見えます。これを「輝度上昇」や「ブライトリバー」と呼びます。
超音波検査は痛みがなく、短時間で実施できるため、健康診断でも広く採用されています。ただし、軽度の脂肪肝や肥満の方の場合、診断が難しいこともあります。そのため、より詳しい評価が必要な場合は、CT検査やMRI検査が行われることもあるでしょう。
CT検査では、肝臓と脾臓の画像濃度を比較することで、脂肪の蓄積度合いを評価します。脂肪が蓄積した肝臓は、正常な肝臓よりも画像上は暗く見えます。MRI検査では、より精密に脂肪の分布や量を測定することが可能です。
近年では、肝臓の『硬さ』と『脂肪の量』を、お腹の上から振動を当てるだけで数値化できる検査機器であるFibroScanという特殊な検査機器も登場しています。これは超音波を利用して肝臓の硬さ(線維化の程度)と脂肪量を同時に測定できる非侵襲的な検査方法です。検査時間も短く、繰り返し実施できるため、経過観察にも適しているといわれています。
まとめ
脂肪肝は、早期に発見し適切に対処すれば、改善が十分に期待できる病気です。アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の乱れや運動不足、肥満など、さまざまな要因が関与しています。お酒を飲まない方でも脂肪肝になる可能性があることを理解し、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断を受けて肝機能をチェックし、異常が見つかった場合には早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善を中心とした治療により、肝臓の健康を守り、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを減らすことにつながります。
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、ダメージが蓄積すると回復が難しくなります。今日からできる小さな習慣の改善が、長期的な健康維持の第一歩となるでしょう。ご自身の身体と向き合い、必要に応じて医療の専門家に相談しながら、肝臓を大切にする生活を続けていきましょう。
参考文献
J₋stage「非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)/非アルコール性 脂肪肝炎(NASH)」
東北大学大学病院薬学研究科「脂肪肝・肥満の治療作用を有するシグナル経路の発見」

