
柚希礼音、愛希れいかがWキャストで主演するミュージカル「マタ・ハリ」が東京・東京建物ブリリアホールにて開幕。記者会見と公開ゲネプロが行われた。
■フランク・ワイルドホーンによる傑作
「ジキル&ハイド」「スカーレット・ピンパーネル」などで知られる作曲家、フランク・ワイルドホーンによって、2016年に韓国で生まれた本作。日本では2018年に石丸さち子の訳詞・翻訳・演出で上演され、2021年に続き今回が3度目の上演となる。
主演はマタ・ハリ役の柚希礼音と愛希れいか。マタ・ハリにスパイの任務を与えるフランス諜報局のラドゥー大佐役に加藤和樹、廣瀬友祐。マタと恋に落ちるパイロット・アルマンを加藤和樹、甲斐翔真が演じる(加藤は2役の回替わり)。敵国ドイツの将校ヴォン・ビッシングには神尾佑。マタを支える衣装係・アンナを春風ひとみが演じる。
■愛希れいか「自分ができることは全てやった」

2018年の初演から3度目の挑戦となる柚希は「2021年の再演の時、最後がコロナで中止になってしまいましたので、もう一度できたらいいなと思っていました。この公演のために歩んできたところがある」と熱い思いを。今回が2度めとなる愛希も「この作品、この役が大好きで、ずっと準備してきました。自分ができることは全てお稽古場でやったつもり」と意気込みを明かす。
初演に続き、ラドゥーとアルマンの2役に挑む加藤和樹は、「ラドゥマン役を…」と、6月の制作発表での言い間違いで生まれた役名“ラドゥマン”でひと笑い。「石丸さんの愛と情熱がこもった演出に突き動かされ、作品の持つエネルギーを体にしみこませてまいりました。ワクワクした気持ちでいっぱいです」と宣言する。
今回が初挑戦の廣瀬友祐は「あっという間にここまで来てしまった」と振り返り、「人間らしく生き抜くということを一番大事に。作品のものすごい葛藤を受け止めて、ちゃんと昇華したい」と思いを。
同じくアルマン役に初挑戦の甲斐は「初演、再演と観客として拝見して、大ファンになりまして、ワイルドホーンさんの大ファンにもなりました。公演期間中は、アルマンにしっかり育ててもらいながら頑張っていきたい」と目を輝かせた。

■「どっちだっけ…」2役に挑む加藤和樹が混乱

一同からは稽古場でのエピソードも。2役を演じる加藤は「たまに自分でもどっちだっけっていう…。(Wキャストが稽古場に)2人ともいますし」と“ラドゥマン”の混乱を告白。柚希が「舞台稽古で、アルマンの茶色の衣装でラドゥーだったりもするので」、甲斐は「(ラドゥーとアルマンの対決ソングの)『二人の男』が『二人のアルマン』っていう、幻のシーンがありました」とフォローしていた。
■ストーリー
1917 年、第一次世界大戦下のパリ。ドイツ軍の侵攻が迫る中でも、マタ・ハリ(柚希/愛希)のダンスはパリ市民の心を捉えて離さない。ヨーロッパ中の皇族や政府高官、軍人たちを魅了した彼女は、戦時下のヨーロッパを自由に往来して公演を行っていた。
そこに目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐(加藤/廣瀬)は、断れば人生の秘密を暴くとほのめかし、マタ・ハリにフランスのスパイとして働くよう要求する。ラドゥーの要求に怯え、悩むマタだったが、戦闘機パイロットのアルマン(加藤/甲斐)と恋に落ち、自分の人生を生きるため、一度だけフランスのスパイを務めることを決心する。だが、マタの想像を超えた国家同士の謀略は、愛を知った彼女の命運を変えていくのだった。

