今年4月からの診療報酬ついて議論をしている中央社会保険医療協議会(中医協)は2月13日、報酬診療改定にする答申を厚生労働大臣に行いました。
この中で高齢者住宅(住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など)に併設される訪問看護事業所に対して包括型の新報酬体系を導入することが盛り込まれました。
ここ数年「ホスピス住宅」「ナーシングホーム」などの名称で、医療的な対応を必要とする人を対象にした高齢者住宅が急激に数を増やしていました。
しかし、大手事業者が過剰な訪問看護を行うなどして多額の診療報酬を不正に受け取っていたことが判明したこともあり、その在り方に対して批判や疑問の声が介護・医療業界などからあがりました。
一方で運営者やケアマネジャー、家族などからの「末期がんやパーキンソン病などの難病の人が入居できる高齢者住宅は少ない。世の中には絶対に必要なサービス」という声も多くありました。
そうした2つの意見がある中で、今回の診療報酬改定でどのような判断が下されるのか大きな注目の的になっていました。

今回の包括型報酬の導入は、社会のニーズに対応しつつも不適切な運営を防ぐという点で画期的なものと言えるのではないでしょうか。
また、これまでホスピス住宅を運営してきた事業者や、これから運営を検討する事業者にとっては、ビジネスモデルの見直しなどの重要な選択肢を迫られることになることも考えられます。
場合によっては、ホスピス住宅の供給量や運営者の顔ぶれに大きな変化が起こるかもしれません。
この重要な新報酬について、2回に分けて解説します。
まず、包括型報酬の正式名称は「包括型訪問看護療養費」です。
高齢者住宅に併設・隣接する訪問看護事業所が、別表7・8に該当する入居者、もしくは特別訪問看護指示書の対象となっている入居者に、24時間体制で頻回な訪問看護(計画的・随時対応のいずれでも可)を行った場合に1日単位で算定できます。
高齢者住宅の規模による区分は、単一建物居住者が「20人未満」「20以上~50人未満」「50人以上」の3つです。
また、それぞれに訪問看護の実施時間が「30分以上60分未満」「60分以上90分未満」「90分以上」「90分以上で別に厚生労働大臣が定めた場合」の4つの時間区分が設けられています。
具体的な報酬額として一例を挙げると、単一建物居住者20人未満で実施時間が30分から60分未満だった場合には、1日あたり7010円となります(※あくまでも答申ベースの話で、実際の報酬額は変更になる可能性があります)

算定要件はさらに細かく定められています。
具体的には
①日中及び夜間(概ね18時~8時)に少なくともそれぞれ1回ずつの訪問看護を行う
②実施時間が1日60分以上の場合は、1日当たり3回以上の訪問看護を実施する
③1日1回以上は、准看護師を除く看護職員が訪問看護を行う
④訪問看護計画書・訪問看護記録書は電子的方法によって記録する
などです。
個人的には「結構厳しい算定要件ではないか」という印象を受けます。
①によれば、夜間も看護職員を常駐させなくてはいけませんし、④によれば、ある程度業務のICT化が進んでいないといけません。
また、施設基準として「高齢者住宅に併設・隣接される訪問看護事業所がサテライトのみの場合は、包括型の届出を行うことはできない」と定められていますから、ある程度の事業規模も必要になります。
こうした算定要件の中で、どれだけの訪問看護事業所が包括型の届出を行うのかは未知数です。
これまでのように積み上げ型の訪問看護療養費を選択する事業所も出てくるのと思われます。
今回の改定では、同一建物居住者への訪問看護基本料費も算定要件などが見直される予定です。
次のコラムでは、その点を細かく解説していきます。
介護の三ツ星コンシェルジュ


