糖尿病の診断や治療効果を正確に判断するためには、複数の検査項目を組み合わせて評価することが不可欠です。血糖値やHbA1cといった指標がどのような意味を持ち、どの数値を目標とすべきかを理解することで、自身の状態を客観的に把握し適切な治療につなげられます。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
糖尿病の診断に用いられる検査数値
糖尿病の診断や治療効果の判定には、いくつかの検査数値が用いられます。それぞれの指標が何を反映しているのかを理解することで、自分の状態を客観的に把握できるようになります。
血糖値の測定とその意味
血糖値は血液中のブドウ糖濃度を示す数値であり、食事の影響を受けやすい指標です。検査のタイミングによって「空腹時血糖値」と「食後血糖値」に分けられます。
空腹時血糖値は100mg/dL未満が正常域とされ、100~109mg/dLは正常高値、110~125mg/dLは境界型と判定されます。126mg/dL以上で糖尿病型と診断されます。126mg/dL以上が複数回確認されると、糖尿病型と判定されます。一方、食後2時間血糖値は食事開始から2時間後に測定し、140mg/dL未満が正常、200mg/dL以上で糖尿病型とされます。
日常的な血糖値の変動を把握するために、自己血糖測定器を用いて指先から少量の血液を採取し、自宅で測定することも可能です。特にインスリン療法を行っている方にとっては、適切な投与量を決定するうえで重要な情報源となります。
HbA1cが示す長期的な血糖管理
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示す指標です。赤血球の寿命が約120日であることから、HbA1cは直近1〜2か月を中心に、過去約2〜3か月の平均的な血糖状態を反映します。
正常値は5.6%未満であり、6.5%以上が糖尿病型の判定基準の一つとなります。治療中の方では、合併症予防の観点から7.0%未満を目標とすることが一般的です。ただし、高齢の方や低血糖のリスクが高い方では、個別に目標値を調整する場合もあります。
HbA1cは食事の直前・直後といった短時間の変動に影響されないため、治療効果を客観的に評価するうえで有用です。定期的な測定により、生活習慣の改善や薬物療法の効果を確認できます。
まとめ
糖尿病は一度発症すると、完全に治癒することは難しいとされています。しかし、適切な食事管理、定期的な検査、必要に応じたインスリン療法や薬物治療により、血糖値を良好に管理し、合併症の発症や進行を防ぐことは十分に可能です。三大疾病のリスクを低減し、低血糖症状への対処法を身につけることで、安全で質の高い日常生活を送ることができます。自己判断で治療を中断せず、定期的に医療機関を受診し、専門家の助言を受けながら管理を続けていくことが大切です。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」
糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)「糖尿病とは」
公益社団法人日本糖尿病協会「糖尿病とは」

