風邪をひいたとき、喉の痛みや発熱、倦怠感に加えて関節が痛むことがあります。これを関節痛と呼び、多くの方が風邪の症状のひとつとして経験します。実はこの痛みは、ウイルス感染に対する身体の免疫反応が関係しています。ウイルスが侵入すると免疫細胞が活性化し、炎症を引き起こす物質が放出されます。これが筋肉や関節の組織にも作用し、痛みやこわばりを感じる原因です。風邪による関節痛は一時的なもので、多くは発熱やだるさが改善するとともに軽快しますが、なかにはインフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、より強い免疫反応を伴う病気が隠れていることもあります。
この記事では、風邪で関節が痛くなる理由や痛みの特徴、ほかの病気との違い、自宅でできる対処法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
風邪で関節が痛くなる理由と痛みの特徴

風邪でも関節が痛くなることはありますか?
風邪をひいたときに関節が痛くなることは珍しくありません。発熱やだるさと同じタイミングで、膝や手首、肩などの関節が重く感じたり、動かすと痛みが出たりすることがあります。関節自体に問題があるわけではなく、風邪の原因となるウイルスに対して身体が反応していることで起こるものです。痛みは数日で軽くなり、風邪の症状が治まるとともに自然に改善していきます。
風邪で関節痛が生じる理由を教えてください
風邪をひいたとき、体内で免疫反応が活発化し、白血球やマクロファージがウイルスを攻撃します。この過程でサイトカインやプロスタグランジンが分泌され、これが痛みの原因となります。免疫反応が強いほど関節痛を感じやすくなりますが、ウイルスの活動が収束すれば自然に痛みも軽減します。体温が高いときに特に強い炎症反応が起きるため、その影響で痛みが強く感じられることがあります。
風邪による関節痛の特徴を教えてください
風邪による関節痛は、腫れや赤みが少なく、動かすと重だるい痛みを感じるのが特徴です。痛みは膝、手首、肘、肩など、複数の関節に広がることが多いです。発熱や全身の倦怠感とともに現れることが一般的で、痛みは通常、数日以内に軽減します。無理に関節を動かさなければ痛みが感じにくく、休養をとることで回復が早まります。痛みが続く場合でも、数日以内に改善することがほとんどです。
風邪による関節痛と別の病気による関節痛の違い

風邪以外にも関節が痛くなる病気はありますか?
関節痛は風邪以外にも、インフルエンザや新型コロナウイルス、パルボウイルス、チクングニアウイルスなどのウイルス感染でもよくみられます。これらのウイルスは、風邪とは異なり、関節に対してより強い免疫反応を引き起こし、長期間にわたる関節痛を伴うことがあります。また、細菌が原因となる感染性関節炎や、免疫系が異常をきたす関節リウマチ、尿酸結晶がたまる痛風などでも関節痛が発生します。これらの病気は風邪の関節痛よりも強く、腫れや熱感を伴うことが特徴です。
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症による関節痛の違いを教えてください
インフルエンザは急激に発症し、高熱とともに強い筋肉痛や関節痛が現れます。特に太ももや膝、肩などの大きな関節に痛みが集まり、発熱と同時に痛みがピークを迎えることが多いです。
対して、新型コロナウイルス感染症は、関節痛が回復後も数週間から数ヶ月続くことがあります。これは、免疫反応が長引くためで、風邪やインフルエンザに比べて回復が遅れることがあります。いずれも、関節が直接ウイルスに侵されるのではなく、免疫反応が原因で一時的に痛みが生じます。
注意した方がよい関節の痛みとはどのようなものですか?
風邪による関節痛は通常、数日で改善しますが、痛みが1週間以上続く場合や、関節の腫れや赤みを伴う場合は、ほかの病気が原因かもしれません。感染性関節炎や関節リウマチなどは、関節が腫れて熱を持ち、痛みが強くなることが多く、場合によっては動かすことも困難になることがあります。
また、朝に関節がこわばり、動かしにくくなる場合は、関節リウマチや自己免疫疾患の兆候であることがあります。これらの症状が続いたり、ほかの異常とともに現れたりする場合には、風邪による関節痛とは異なる病気の可能性が高いため、早期に診察を受けることが重要です。

