「くも膜下出血の治療」は何を目的に行う?生存率を左右する“術後2週間”も医師が解説!

「くも膜下出血の治療」は何を目的に行う?生存率を左右する“術後2週間”も医師が解説!

くも膜下出血の急性期における治療法

先に述べた通りの治療法は基本的にすべて急性期の治療であり、慢性期になってくも膜下出血の治療を行うということはほとんど想定されていない、なぜなら慢性期になって治療できる人の方が極めて稀であり、再破裂して亡くなってしまうことが多いので、急性期の治療以外は考えなくてもいいのではないかと思います。脳神経外科や救命救急科にて対応され、入院期間は最短2週間、通常1ヶ月程度となります。

くも膜下出血の治療薬

繰り返しにはなりますが、くも膜下出血に対しては、明確な治療はなく、いちばん大事なことは再破裂させないこと、また経過中の体に起こる様々な身体合併症に対処することです。再破裂の対処については急性期の治療法で述べた通り、開頭手術やカテーテルの手術が挙げられます。一方で、身体合併症に関しては特に、先に述べた通り“脳血管攣縮”という病態に注意が必要であり、今回はこの脳血管攣縮に対処するための治療薬について解説しています。

クラゾセンタン

クラゾセンタンは、くも膜下出血後に発生する脳血管攣縮を予防・治療するために使用されるエンドセリンA受容体拮抗薬です。この薬剤は、エンドセリンという血管収縮を引き起こす物質の作用を抑えることで、脳血管攣縮を軽減し、脳が虚血にさらされて生じる神経学的障害を抑える効果が確認されています。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を経験した患者さんで、特に動脈瘤クリッピング術またはコイル塞栓術を受けた患者において、脳血管攣縮の予防が必要と判断された場合に処方されます。クラゾセンタンは点滴で投与され、通常は24時間持続的に投与されます。具体的には、クラゾセンタンとして10 mg/時の速度で静脈内に持続投与されるのが一般的で、くも膜下出血後の早期段階で開始され、脳血管攣縮のリスクが高い期間、特に発症から2週間以内で継続されます。

塩酸ファスジル

塩酸ファスジルは、Rhoキナーゼ阻害薬に分類される薬剤で、脳血管攣縮治療に用いられます。この薬剤は、血管平滑筋の収縮を抑制することで血管を拡張し、脳血流を改善する作用を持っています。特に、脳血管攣縮による脳虚血のリスクが高い患者において、脳血流の維持と神経学的障害の軽減を目的として使用されます。塩酸ファスジルは点滴として使用され、通常はくも膜下出血後に再破裂予防の処置が行われた後に早期段階で投与が開始されます。この薬剤は、脳血管攣縮の発生を抑えるだけでなく、すでに発生した脳血管攣縮の治療にも効果があるとされています。

ニモジピン

残念ながら国内未承認の薬ではありますが、海外のガイドライン³⁾、⁴⁾では動脈瘤性くも膜下出血に対して唯一と言っていいほど使用を推奨されている薬になります。カルシウム拮抗薬に分類されて、脳の血管平滑筋に作用して脳血管攣縮を起こさないようにする薬です。脳血管攣縮という病態は、血管が攣縮と言って痙攣して収縮してしまう病態ですので適切な対処法となります。投与期間として明確な決まりは日本で導入されていないので不明確ではありますが血管攣縮の起こりやすい期間、つまり発症から2週間程度は投与されていると考えられます。

配信元: Medical DOC

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