
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『上田ちゃんネル』(テレビ朝日)をチョイス。
■私の強迫観念『上田ちゃんネル』
CSテレ朝から地上波に進出した長寿番組、『上田ちゃんネル』。3月12日(木)放送回には、CS時代からのレギュラー出演者である上田晋也、小坂大魔王に加え、不定期レギュラーとなっている清水あいりと、エイトブリッジが出演する。
今回のテーマは『逆武勇伝』。磁石、ななまがり、パンプキンポテトフライの3組が、しょぼすぎるけど笑える逆武勇伝トークを次々に披露。内容によっては上田が気分次第でポイントを与え、その得票数で競うという、いかにも深夜番組らしい、ゆるく見られる内容だ。
矢継ぎ早にトークが展開され、退屈する間もなく笑える非常に良い企画だった。『逆武勇伝』という塩梅が良い。笑えればもちろん良いし、笑えなくとも、『逆武勇伝』というワードがフリになって、大事故にはならない。深夜に酒を飲みながら、適当につけたテレビのにぎやかさ。学生のころ大好きで、ドライブイン・ナガサワ(永沢のAmebaブログ)をずっと読んでいた磁石が出ていることも相まって、なんとなくノスタルジーに浸ったりもしたよ。
さて、そんな中でも特に興味をひかれたトークは、ななまがり・森下の話。「自分の家で食事ができない」のは他番組で聞いたことがあったのだが、「食べようとしているおにぎりの米と米の間に家が入ってくる」という感覚は初めて聞いて、ウンウンと頷いた。私は強迫性障害を抱えていて、そういった様々な強迫観念と戦いながら生きているから、彼の言い分はよく分かる。
森下は、最初に一人暮らしをした家があまりにも汚く、「自宅」という概念が汚いものであると認識してしまっているのだそうだが、私も似たようなことがあったのだ。阿佐ヶ谷のアパートに住んでいたとき、家の前にウンコが落ちていた。犬か猫か、家に出入りするたび視界に入るそのウンコに私の頭はさいなまれ、ついに寝込んでしまった。家から出られなくなったのである。見かねた友人が片づけに来てくれて、なんとか立ち直ることができたものの、「一度ウンコがあった場所」で呼吸をするのがイヤで、家に出入りするときは必ず息を止めていた。そのストレスが毎日蓄積して、契約更新をする気にもならず、2年ですぐに出てしまった。
それからというもの、新しい家に越しても、「自宅の入口」は汚いものだと認識してしまっている。だから、駆け足で通り過ぎる。こういった感覚はなかなか理解してもらえないから、森下が地上波でバンバン喋ってくれるのはうれしい。いつか彼と、互いに蓄積しているであろうエピソードを語り合いながら飲み明かしたい。
■文/城戸

