料理は、言葉よりも誠実に
料理をつくるのは店主・前田さん。和の基本を大切にしながら、少しだけ洋や中のエッセンスを添えてくる。どの皿にも、派手さじゃない“誠実さ”が滲んでいる。

お造りの皿に並ぶのは、マグロ、サーモン、鯛、イカ、イクラ。器の余白までもが計算されたように、美しく、でも気負っていない。

季節の野菜を使った天ぷらは、衣がふわりと軽く、噛むと中にしっかり季節が詰まっている。自家製おぼろ豆腐は、やさしく口に馴染んで、肩肘張らずに“美味しい”を感じさせてくれる。
一軒で、夜を完結させる贅沢

コースでも、アラカルトでも。料理の数は100を超える。迷ったときは、店にゆだねて流れを味わうのもいい。その日の気分で、気ままに選ぶのもいい。
お酒もまた、選択肢は豊かだ。日本酒はもちろんだが、特筆すべきは焼酎の品揃え。なんと50種以上。芋、麦、米、黒糖。香りも、味わいも、温度も、それぞれに違う。

たとえば、超音波熟成でやわらかく仕上げた麦焼酎「円円(まろまろ)」は、するりと喉を抜けていく。芋焼酎「前田利右衛門」は、古風でしっかりとした輪郭。関西では珍しい奄美の黒糖焼酎「里の曙」や「朝日」も揃っていて、選ぶたびに、夜が深くなる。
どれを選んでも、間違いはない。その安心感が、会話に余裕をくれる。
