目の健康に関心が高まるなか、眼圧や緑内障という言葉を耳にすることが増えています。特に40代以降では、緑内障と指摘される方も少なくありません。本記事では、眼圧とは何かについて解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「眼圧」がどうなると「緑内障」を発症しやすくなる?眼圧を下げる方法も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
栗原 大智(医師)
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
眼圧の基礎知識

眼圧とはなんですか?
眼圧とは、眼球内部にかかっている圧力のことです。目の中には房水(ぼうすい)という液体が循環しており、この液体が目の内側から外側に押す力が眼圧になります。房水は角膜や水晶体など血管のない部分に栄養を届ける役割も持っており、房水の量と流れによって眼圧は常に一定に保たれています。まぶたの上から軽く目を押さえると弾力を感じますが、これは眼球内に適度な圧力があるためです。そのおかげで目は水風船のように丸い形を保ち、正常に機能しているのです。
眼圧を計測する方法を教えてください
眼圧の測定(眼圧検査)は眼科で専用の機器を使って行います。一般的な方法は2つあり、非接触式と接触式です。非接触式ではノンコンタクトトノメーターという装置で角膜に向けて空気をプシュッと当てます。空気の圧力で一瞬だけ角膜をへこませ、そのへこんだ角膜が元の形に戻る速さから眼圧を算出します。一方、接触式では点眼麻酔をしたうえで、アプラネーショントノメーターという計器を角膜に直接当てて測定します。通常の健診などでは痛みのない空気を当てる非接触式で測ることが多いですが、緑内障の精密検査ではより正確な接触式で測定する場合もあります。
眼圧の正常値はいくつですか?
眼圧の正常範囲は一般的に10~21 mmHgとされています。日本人の平均的な眼圧はおよそ14~15 mmHg前後とされますが、眼圧は個人差が大きく、同じ方でも1日のなかで3~5 mmHg程度変動します。季節による変化もあり、夏より冬の方がやや眼圧が高くなる傾向があります。そのため、日中に1回測っただけでは正確な評価が難しい場合もあります。正常値の範囲内であっても、人によってその目にとって適正な眼圧は異なります。そのため、統計上の正常範囲だからといって絶対に安心というわけではありません。つまり、正常値10~21 mmHgはあくまで目安であり、この範囲から外れていなくても緑内障になるケースもあるのです。むしろ、日本人の場合は眼圧の値が正常でも緑内障である方の割合の方が高くなっています。よって、自分の眼圧がどの程度であれば安全かは、眼科医の判断や視神経の状態と併せて総合的に評価する必要があります。
眼圧が正常値から外れるとどうなりますか?
眼圧が正常範囲から大きく外れると、目の状態にさまざまな影響が出ます。眼圧が高すぎる場合、眼球は硬く張った状態となり、視神経が圧迫されて傷つきやすくなります。その結果、視野が徐々に欠けていく緑内障を発症するリスクが高まります。一方、眼圧が低すぎる場合は眼球を膨らませる力が足りなくなり、眼球の形を保てなくなったり網膜剥離などを起こすことがあります。極端に低い眼圧は外傷や手術後など特殊な場合を除いてあまり起こりませんが、もし眼圧が6~7 mmHg以下に下がってしまうと視界がぼやけたり、見えにくさを感じることもあります。いずれにせよ、検査で眼圧が基準から外れて高すぎたり低すぎたりしたときは注意が必要です。
ただし、眼圧はそのときどきで変動しやすいため、一度の検査で正常範囲を外れていても、日を改めたり時間帯を変えて測り直すことで正常値に収まることもあります。特に、緊張や体調などで一時的に上がる場合もありますから、眼科では何度か測定して傾向を確認します。それでも持続的に眼圧が高いと判断された場合には、将来的に緑内障を発症する可能性がありますので、定期的な経過観察や必要な治療が行われます。
編集部まとめ

眼圧は目の中の圧力であり、適正に保たれることで眼球の形や視力が維持されています。眼圧が高くなりすぎると視神経を傷つけて緑内障を招く原因となり、逆に低すぎても目の状態に支障をきたします。緑内障は40歳以上では決して珍しくない病気ですが、早期発見と適切な治療で進行を食い止めることができます。ポイントは、眼圧をしっかりコントロールして視神経を守ることです。そのためには定期的な眼科検診で眼圧や視野をチェックし、異常があれば早めに治療を始めることが重要です。
参考文献
よくわかる緑内障―診断と治療―(公益社団法人 日本眼科医会)
緑内障(健康長寿ネット)

