経験は嘘をつかない
みやこさんは気合を入れるように腕まくりをしました。
しかし、私は知っていました。彼女がこの1年、ホットケーキの注文が入るたびに「時間がかかるから」と言って私に押し付け、自分では一度も真剣に練習してこなかったことを。しかし作り方を教えてはいるので、彼女に一任しても文句を言われる筋合いはないのです。
彼女はボウルに材料を入れ、雑に混ぜ始めました。メレンゲの泡立て方も不十分で、フライパンの温度管理も適当です。
「みやこさん、火が強すぎるよ。もう少し弱めないと、外だけ焦げて中が……」
さすがに見かねて声をかけると、みやこさんはこちらを睨んできました。
「大丈夫、わかってるから」
彼女は私の助言を拒絶しました。息子が見ている前で、私から教えを請うのがプライドに障ったのでしょう。
しかし、調理台からは次第に香ばしい匂いを通り越し、焦げたような匂いが漂い始めました。みやこさんは焦ってフライパンの中身をひっくり返そうとしましたが、生地が十分に固まっておらず、ぐちゃりと崩れてしまいました。
「あっ……!」
みやこさんの悲鳴に近い声が上がり、りおんとみつるくんが心配そうにキッチンを覗き込みました―――。
あとがき:見栄の代償?
自分の子どもの前で見栄を張りたい気持ちはわかりますが、さすがにこれはまずいのでは?と誰でも予測できます。
これまで面倒な仕事から逃げてきたツケが回ってきているのかもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: kgrddm
(配信元: ママリ)

