癒やし系上司・風間俊介&一途な年下部下・庄司浩平 “凸凹な魅力”が奇跡的に響き合った、ドラマ「40までにしたい10のこと」

癒やし系上司・風間俊介&一途な年下部下・庄司浩平 “凸凹な魅力”が奇跡的に響き合った、ドラマ「40までにしたい10のこと」

「40までにしたい10のこと」(全12話)
「40までにしたい10のこと」(全12話) / (C)マミタ・libre/「40までにしたい10のこと」製作委員会

「魔進戦隊キラメイジャー」(2020年~2021年、テレビ朝日系)でデビューし、今秋放送のドラマ「俺たちの箱根駅伝」(日本テレビ系)への出演も決まるなど、現在注目度が急上昇中の俳優・庄司浩平。彼の出演作を放送する特集企画「2ヶ月連続 庄司浩平が煌めいて」が、日本映画専門チャンネルにて3月16日(月)よる7時にスタートする。本特集にて放送される出演作の中でも、庄司浩平の名を世に轟かせる大ブレイクのきっかけとなったドラマといえば、「40までにしたい10のこと」(2025年、テレ東系)だろう。本記事では、庄司の出世作にして、多くの視聴者やファンからの支持を得たドラマ「40までにしたい10のこと」の魅力をあらためて紹介する。

■枯れたサラリーマンとクールなイケメン部下が織りなすオフィスラブストーリー

「40までにしたい10のこと」は風間俊介主演、庄司浩平共演によるオフィスラブストーリー。2025年7月期に放送され、全話トレンド入りを果たす大ヒットとなった。その旋風はいまだ収まることなく、風間や庄司、作品が賞を受賞するなど現在も話題となっている。

主人公は10年以上恋人がおらず、代わり映えのない毎日を送っていた40歳目前の枯れたサラリーマン、十条雀(風間)。ふとしたきっかけで書いた「40までにしたい10のことリスト」を、10歳年下のクールなイケメン部下・田中慶司(庄司)に見られたことから物語は動き出す。動揺する雀に慶司はしれっと一緒にリストをやっていくことを提案し、自分もゲイであることを告げて雀にアピールする。

■原作者は丁寧な心情描写と軽妙なストーリー展開に定評

まず、原作が非常に素晴らしい。累計発行部数100万部を突破し、BLアワード2024総合コミック部門で1位に輝いた、人気作家・マミタが手がけた同名コミックだ。マミタは「なつめさんは開発(ひら)かれたい」や「ギンモクセイの仕立て屋」など多くのヒット作を生み出している。美しいイラストとハッとさせられる生き生きとした表情の描き込みはもちろん、丁寧な心情描写とテンポのいい軽妙なストーリー展開が一体となって読者を引き込む力に長けた作家だ。

さらに、コンプレックスなどのネガティブ要素を持つ年長者と、彼をサポートして幸せに導くハイスペな年下という組み合わせを描く手腕も見事。この組み合わせのカップルを好むBLファンは少なくないだろう。

「40までにしたい10のこと」は、まさにこの組み合わせに当てはまる。ちょっとお疲れ気味の雀は守ってあげたくなる愛らしさがあり、キリリとした目元の慶司も胸をときめかせる存在だ。この2人の魅力が互いを引き立てあい、物語をさらに輝かせている。なお、BLアワード2024総合コミック部門1位の歴代受賞作品は「体感予報」などドラマ化されることが多く、いずれも素晴らしい作品であることも触れておきたい。

■ビジュアルからすでに勝利しているキャスティング

ドラマ化の成功要因のひとつとして、キャスティングの巧みさも重要だ。主人公の雀に扮する風間は言わずと知れた安定感のある演技力を持つ役者だが、まず見た目からしてハマっている。敏腕でアラフォーのサラリーマンでありながら、かわいいものが大好きで自身もかわいい、といういわば漫画的なキャラクターなのにとてもナチュラルに見える。あまりにも違和感無くしっくりと映っているため、なんでもないことのように感じてしまうが、これは奇跡に近いことだと言える。

しかも、第1話のオープニングが明けてすぐ、風間は雀のトレードマークである熊の着ぐるみパジャマを流れるように身につける。この衣装を着てこんなに自然にかわいく見えるアラフォー男性は風間以外いないのではないだろうか。ドラマ版でもこの姿が見られて嬉しく思うことを通り越して感動すら覚える。

また、スパダリな部下・慶司を演じる庄司は188センチという高身長で、風間との身長差にもキュンキュンとさせられてしまう。

物語の発端である「40までにしたい10のことリスト」の写真を慶司に撮られた雀は慌ててスマホを奪おうとするが、高身長の慶司は涼しい顔でスマホをかかげてヒョイヒョイとかわす。必死でピョンピョンと跳ぶ雀と余裕で雀を眺める慶司の対比が面白い。

その後、慶司は自分もゲイだということを信じない雀に、覆いかぶさるようにバックハグして説き伏せ、次にくるりと向かい合わせにさせると腰に手を回して「俺はあなたのこと、余裕で抱けます」と爆弾宣言。もうこんなの太刀打ちできずにノックアウトされてしまう。

ここも身長差が活きており、目をまんまるにして見上げる雀と、淡々と見下ろす慶司とのコントラストが際立っている。第1話からワクワク感のボルテージは上がり、今後の展開への期待で胸が膨らむことだろう。

■完成度の高い2人の演技が、キャラクターに命を吹き込む

飄々としていながらときにはグイグイと攻めた姿勢を見せる慶司だが、その内面は非常にピュアで繊細で、庄司がその心情をしっかりと体現している。

第6話で雀の家に行った慶司に注目してほしい。デパ地下のケーキを食べてコーヒーをお代わりした後、慶司は不意にじっと雀を見つめながらソファをポンポンとして、タメ口で「おいで」と言う。隣に雀を座らせると抱きしめて眼鏡を外し、ゆっくりとおでこにキス。これだけでも胸がときめくのに、続く展開でさらに心揺さぶられる。

慶司は「今日はここまでにしとく。それ目的と思われたくないから」と伏し目がちに告げるとコーヒーを飲み直すのだが、その手や口もとをかすかに震わせ、ゴクリと喉を鳴らすのだ。

本当のところは緊張するほどに雀のことを大切に思う一方で、恋愛として雀に意識してほしい気持ちもあり、葛藤しながら唇ではなくおでこにキスをしたのだろう。そのせめぎ合いを“震え”と“ゴクリ”で表現しきる庄司の演技力には脱帽だ。

また、雀を演じる風間は恋愛の苦さや痛みの部分まで演技ににじませる。浮足立っていた2人の恋愛に、ひょんなことから現実が暗い影を落とす第11話で、雀は慶司のことを思うからこそ、前に進めなくなってしまう。「一緒にいられればそれでいい」と感情をあらわにして泣いてすがる慶司に対し、雀の諦観に満ちた表情は取り付く島がないことを雄弁に語り、残酷なほど胸に刺さる。

それでいて、慶司が帰った後、一人カップラーメンをすする雀の切なさと言ったらない。計算では到底生まれない美しい一筋の涙を流しながら、まるで笑っているかのような複雑な表情を浮かべて、わざと軽快にフーフーと麺を冷ましながら食べ進める。

笑っているのか泣いているのか、くるくると移ろう表情からはさまざまな思いが雀の胸に去来していることが見て取れ、胸が張り裂けそうになる。思わずこちらまで涙が流れてしまいそうになるほど引き込まれる演技だ。

庄司も風間もキャラクターの多面性を引き出し、血の通った存在として画面に昇華させている。

■相反する要素が両立するバランスが絶妙

相反する要素が絶妙に調和している点も、本作が成功を収めた理由のひとつだ。心躍るラブストーリーの高揚感と、単なる「好き」だけでは進めない人間ドラマとしての滋味深さが見事に両立している。

心情をシリアスに描いたかと思えば、雀を優しく見守るぬいぐるみ・すず子が代表するようなコミカルな要素も随所に。しかも、すず子の声は声優の三石琴乃が担当するという豪華ぶりでその本気度もうかがえる。

雀と慶司の会話や目線のこまやかなやりとりを表現して見せたかと思えば、壁ドンや頭ポンなど定番のわかりやすい萌えシチュエーションも披露。2人だけの世界を描く一方で、田中(平井亜門)や宇多川(高山璃子)、黒木(平子祐希)ら会社の同僚たちとの物語も繰り広げられる。それぞれキャラクターが立っており、ワンチームのエピソードなどストーリーも濃密で見応えがある。多彩な魅力が折り重なることで、キャラクターの多面的な魅力が浮かび上がり、物語全体に厚みと豊かな奥行きを与えている。

熊の着ぐるみが似合うかわいいアラフォーと高身長イケメン部下のラブストーリーを、風間と庄司がビジュアルで圧倒しながらその演技力でキャラクターに命を吹き込み、奇跡的に世界観を成立させた本作。

未見の方はもちろん、すでに見たことがある方も、ポイントを押さえて見返せば新たな発見と感動が待っているはず。これほど多くの視聴者を魅了し、今もなお評価と支持を得る理由が実感できるだろう。また、今回の特集内では、風間と庄司の演技へのこだわりがさらに感じられる最高級のメイキング映像を収めた「大ヒット記念『40までにしたい10のこと』全リスト裏も表も公開スペシャル」も放送されるので、そちらもぜひチェックを。ドラマの深みと2人の熱量を肌で感じられる贅沢な体験となっている。

◆構成・文=牧島史佳

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