「自覚症状がないから大丈夫」と大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を後回しにしていませんか? しかし、大腸ポリープは放置すると、がんに進行する恐れがあります。大腸カメラ検査の重要性と、検査を受けないことで生じるリスクについて、西八王子やまたか消化器内視鏡クリニックの山髙先生が解説します。
※2025年10月取材。
≫【1分動画でわかる】放置するとがんになる?消えないポリープの正体
監修医師:
山髙 謙(西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック)
2012年山梨大学 医学部卒業。2014年慶應義塾大学医学部 外科(一般・消化器) 入局。2016年慶應義塾大学医学部 外科(一般・消化器) 腸班。川崎市立川崎病院、練馬総合病院での勤務を経て、2023年山高クリニック(2025年に西八王子やまたか消化器内視鏡クリニックに改名)副院長に就任。
大腸カメラを受けないとどうなるのか?
編集部
なぜ40代から大腸カメラが推奨されるのですか?
山髙先生
大腸がんは40代から増え始め、50代以降で発症率が一気に高まるからです。研究によると、50代の発症率は40代の約2倍になることがわかっています。そのため、「40代から大腸カメラを受けると大腸がんを効果的に予防できる」と考えられています。
編集部
便潜血検査だけでは不十分でしょうか?
山髙先生
便潜血検査は簡単で有効なスクリーニングですが、初期の大腸がんは自覚症状がほとんどなく、検査をすり抜けてしまうこともあります。特に、出血がないポリープや右側結腸の病変は見逃されることがあります。結果が陰性でも安心せず、一定の年齢になったら一度は大腸カメラを受けることをおすすめします。
編集部
大腸カメラを受けないと、どのようなリスクがありますか?
山髙先生
最大のリスクは、気づかないうちにがんが進行してしまうことです。ポリープの段階であれば日帰り手術での切除が可能ですが、がんが大きくなると開腹手術が必要になり、体への負担や命に関わるリスクが格段に高まります。だからこそ早期発見、早期治療が重要なのです。
大腸ポリープが放置されるとどうなる?
編集部
大腸ポリープとは、そもそもどのようなものですか?
山髙先生
大腸の内側にできる小さなできもので、ほとんどが良性です。しかし、「腺腫性ポリープ」と呼ばれるタイプは、放置すると年単位の時間をかけて大腸がんに変化する性質を持っているので、注意が必要です。
編集部
一度できたポリープが自然に治ることはありますか?
山髙先生
残念ながら、自然に治ることはほとんどありません。放置すれば大きくなり、悪性化(がん化)するリスクが高まります。だからこそ、小さいうちに見つけて切除することが大切なのです。
編集部
ポリープががんに変わるまでどのくらいかかりますか?
山髙先生
一般的には、数年という時間をかけて徐々にがん化していくといわれています。この「ポリープの期間」に大腸カメラで見つけて取り除いてしまえば、がんを未然に防ぐことができます。しかし、このタイミングを見過ごしてしまうと、進行がんに至るリスクがあります。そのため、3〜5年という間隔で定期的に大腸カメラを受けるのが望ましいと考えられているのです。
編集部
ポリープ切除には、やはりリスクや危険が伴うのでしょうか?
山髙先生
数年前までは、ポリープ切除には出血のリスクが伴い、入院が必要なケースも多かったのですが、現在は内視鏡技術が進歩し、多くの場合、安全にその場で治療(切除)することが可能です。外科医として大腸の手術を数多く経験してきた立場から言えば、ポリープが大きくなるほど治療の負担も、合併症のリスクも格段に高くなります。だからこそ、早い段階で見つけて内視鏡で取り除くことが、患者さんにとって最も身体への負担が少ない選択になるのです。

